iPad3+AbuseMark基板|ラズベリーパイ4のモニター制作

iPadのRetinaディスプレイでモニター制作のことを検索しているとアスキーさんの過去記事などにたどり着きます。そこでAbuseMarkさんのコントロール基板を知りました。

iMac-G5に似せて作ったモニターや、アクリルパネルを使ったものなどとても素敵なのですが、安価で制作が楽、かつ見栄えが良いように、iPadのアルミボディを加工して作ってみました。

AbuseMarkのコントロール基板でiPad3のディスプレイをモニター化

== 目次 ==

 1.材料の調達

必要なのはiPad3、4に使われる規格のRetinaディスプレイとAbudeMarkさんのコントロール基板です。

iPad3か4

オークションサイトでiPadをさがします。

使いたいのはディスプレイとガラスパネル、アルミボディのみ。

iPadとしての動作はしなくてもいいのですが、ディスプレイ機能には問題がないと予想されるものをえらびます。

分解取り出し中のiPadのディスプレイ

AbueMarkコントロール基板

AbuseMarkさんのサイトで拝見すると、Retinaディスプレイのコントロール基板は3種類あるようです。

  • ●ディスプレイポートでの接続のもの
  • ●USB_C/ Thunderbolt接続のもの
  • ●microHDMI接続のもの
  • 自分はmicroHDMIのものを注文。

    銀行振り込みか、Peypalでの決済を案内されます。

    配送はヤマト運輸さんの追跡番号付きのメール便。数日で到着しました。

    電源はUSB_C端子接続で供給。最大輝度で5Vボルト、1.6Aアンペアが必要だそうです。

    !注:動画では1.35Aアンペアと案内しておりますが、これはディスプレイポート接続の基板の場合です。)

    自宅へ届いたAbuseMarkのコントロール基板 自宅へ届いたAbuseMarkのコントロール基板

     2.分解と加工

    AbuseMarkコントロール基板を選んだのは、iPadの中身を空にしてそこに基板を収め、外見はそのままでモニターにする、という目標からでした。

    iPad3の分解

    iPadのガラスパネルは接着剤(両面テープ?)でくっついています。

    これをドライヤーで温めながら剥がしていきます。

    右側面上側のロックボタン付近に接着剤がついていない箇所があります。こちらに工具を差し込んで、剥がしていきます。

    iPadをドライヤーで温める iPadを工具で分解中

    自分はiPad3の分解は2度目であり、ガラスパネルのタッチ機能などなくなってもかまわないので、力任せに工具をつかいガラスパネルのフラットケーブルもぶち切っていたのですが、ガラスパネルの再利用や、ホームボタン側のWi-Fiアンテナを破損させたくない方は、気をつけて分解して下さい。

    IFIXITさんのサイトで丁寧に解説されています。

    ガラスパネルを外すと、ディスプレイの四隅にビス留めしてあるのが見えます。これを精密ドライバーで外し、後に組み立てる時に使うので保管します。

    iPadディスプレイ固定ビスを外す

    ビスを外したらディスプレイをそっと持ち上げ、裏に見えるフラットケーブルのロックを解除します。優しく爪をこじってください。

    iPadディスプレイのフラットケーブルを外す iPadディスプレイを外す

    ディスプレイをはずしたら、後の部品は(自分の場合は)使わないので、ビスやテープを解除しながら取り除いていきます。

    iPadの使わない部品を撤去中

    唯一気をつけなければいけないのはバッテリーです。

    バッテリーの端子に不用意に触れると感電の恐れがあります。

    また、バッテリーを剥がす時に傷つけると発火のおそれもあります。

    iPadのバッテリーは3つのパックを連結したような作りで、一つのパックの側面に添うように両面テープで貼り付けられています。

    これに対して、工具の差し込む場所を変えながらすこしずつ、徐々に徐々に剥がしていきます。

    iPadのバッテリーを取り外す iPadのバッテリーを取り外す iPadのバッテリーを取り外す

    バッテリーは端子部分をビニールテープなどで絶縁し、お住まいの自治体の指定する処分方法で処理してください。

    iPadの使わない部品を撤去中

    アルミボディの加工

    AbuseMark基板は、ウェブサイトで案内されているとおりにディスプレイ裏に両面テープで固定します。

    これを元のアルミボディに納めるには、ビス穴の突起が邪魔になります。これを金属やすりで取り除きます

    iPad3のアルミボディを加工中 iPad3のアルミボディを加工中

    ケーブルやボタンもアクセスできるよう切り欠きもつくります。

    まず、切断するときに干渉してしまう、アルミボディにくっついているステンレスの部品をプライヤーで力任せに引っぺがし、金属用の糸ノコギリで切断。

    コーナー部分でドリルを使い穴をあけ、方向転換してノコを使い切り欠きができましたら、切断面を金属やすりで整えます。

    iPad3のアルミボディの金属部品をひっぺがす iPad3のアルミボディの金属部品をひっぺがす iPad3のアルミボディを加工中 iPad3のアルミボディを加工中 iPad3のアルミボディを加工中 iPad3のアルミボディを加工中

    コントロール基板を接続

    コントロール基板を接続します。

    基板のケーブル端子のロックを解除してディスプレイのケーブルを差し込み爪を閉じてロックします。

    コントロール基板の端子ロックは、iPad3からケーブルを外した時と同じ感じでロック解除します。

    AbuseMark基板を接続する AbuseMark基板を接続する

    基板のうらには、ディスプレイの金属と基板が導通してしまうことを懸念して、カプトンテープを基板裏に貼ってから、両面テープをはり、ディスプレイ裏に貼り付けます。

    何度もボタンを押したり、ケーブルを抜き差しする際、基板の接着力が力負けしないよう、基板の後ろにも、100円ショップで購入したプラ板を切った、"ゲタ" を貼り付けました。

    アルミボディの方にも、基板固定位置にカプトンテープを貼りました。

    AbuseMark基板の裏にカプトンテープを貼ったところ AbuseMark基板の裏に両面テープを貼ったところ AbuseMark基板の裏に両面テープを貼ったところ AbuseMark基板の裏に両面テープを貼ったところ iPad3のアルミボディ側にもカプトンテープを貼る

    組み立て

    基板を裏に貼り付けたディスプレイを、再度アルミボディにビス留めします。

    この時にスイッチ押し具合やケーブル類の取り付けに支障はないことを確認します。

    アルミボデイの切り欠きがギリギリの寸法ですと、ボタンを押す時に指が痛かったりします。しかし、あまり開口部を広くするとディスプレイの裏側に光が入ります。難しいところです。

    iPad3のディスプレイをアルミボデイへビス留めし直す

    ディスプレイをビス留めしたら、両面テープでガラスパネルを取り付けます。

    ホコリや手の脂などをディスプレイ、ガラスパネルについていないことを確認して貼り付けます。

    基板や"ゲタ"、そしてこのガラスパネルを貼り付ける際、自分はニチバンさんの「ナイスタック」という両面テープを使いましたが、AbuseMarkさんのサイトでは、「3M VHB」が案内されています。ご自身で信頼に足る品質のものを使用してください。

    iPad3のガラスパネルを両面テープで貼り直す

     3.ラズベリーパイOS|config.txtの編集

    ディスプレイを取り出した時に、コントロール基板を取り付けて起動確認したのですが、その時は、何も表示されず、焦りました。

    これは電源供給にNexus5のUSBケーブルを使い、電流が足りなかったためで、アダプターをiPad Miniの物にかえたら表示されました。でも、、、

    表示がおかしい

    ラズベリーパイ4のデスクトップ画面がおかしく表示されています。

    なんでも、これを直すにはラズベリーパイOSの「config.txt」を編集する必要があるとのことです。

    AbuseMark基板でそのままラズパイOSを繋いだ時の表示画面

    config.txtの編集

    config.txtの編集にはやり方がいろいろあるそうなのですが、自分はラズパイOSの入ったマイクロSDカードをMacにつないで、テキストエディターで編集しました。

    画面上に表示されたマイクロSDカードのアイコンをダブルクリックすると、表示されたファイルの中に「config.txt」ファイルが見えます。

    RaspberryPi_OSのconfig.txtファイルを編集 RaspberryPi_OSのconfig.txtファイルを編集

    ラズベリー財団のサイトのconfig.txtファイルの解説ページなどを参考にしながら編集しました。

    最近の機械翻訳は、グーグル翻訳やDeepLなどとても優秀です。

    外国語のサイトでも、グーグルのクローム(Chrome)の翻訳機能などを使うと便利です。

    ラズベリー財団のウェブサイト内、config.txtの解説ページ ラズベリー財団のウェブサイト内、config.txtの解説ページ RaspberryPi_OSのconfig.txtファイルをDeepLで機械翻訳

    ====   config.txtのいじった内容   ====

  • →16行目の「# overscan.」を「overscan_scale=1」に変更
  • →17行目の「#framebuffer_width=1280」を「max_framebuffer_width=2048」に変更
  • →18行目の「#framebuffer_height=720」を「max_framebuffer_height=1536」に変更
  • →19行目に「hdmi_cvt 2048 1536 30 1 0 0 1」を書き込み
  • →20行目に「hdmi_ignore_edid=0xa5000080」を書き込み
  • →26行目の「#hdmi_group=1」を「hdmi_group=2」に変更
  • →27行目の「#hdmi_mode=1」を「hdmi_mode=87」に変更
  • →31行目の「#hdmi_drive=2」の「#」をコメントアウト(消す)。
  • 何度も編集してはSDカードを抜き差し抜き差しして、無事正常に表示された時はホッとしました。

    config.txtを編集して無事正常表示されてAbuseMarkコントロール基板のモニター

     4.Retinaディスプレイモニター|使用感

    ラズパイ4のモニターとして使っていますが、とても快適です。

    AbuseMark基板のスイッチ操作

    AbuseMarkコントロール基板では、スイッチは一つです。

    操作は以下の通りです。

    ==== AbuseMark基板のスイッチ操作 ====

  • ● スイッチ押して電源オン →  LED点灯
  • ●  LED点灯からスイッチ押してスリープ状態へ →  LED点灯
  • ●  LED点灯からスイッチ押して復帰 →  LED点灯
  • ●  LED点灯からスイッチ長押しで、LEDが  →  →  を繰り返す
  • ●  LED点灯からスイッチを押して 輝度を下げる
  • ●  LED点灯からスイッチを押して 輝度を上げる
  • ●  LED点灯からスイッチ長押しで  →  →  → と一周させてから、スイッチ押してスリープ状態となり LED点灯 → もう一度スイッチ押してLED消灯で電源オフ
  • AbuseMarkコントロール基板のボタン操作

    iPadカバーでモバイル・ディスプレイ

    もしiPadのカバーをお手持ちでしたら、少し加工することで、モバイルモニターとしての使い勝手が上がります。

    iPadのカバーを加工して使う iPadのカバーを加工して使う

    モニタースタンドも自作

    100円ショップなどに売っているスマホスタンドなどを使えばよいのかもしれませんが、自分はハードカバー本の裁断をした時に出る廃材をつかい、モニタースタンドをつくっています。

    ハードカバー本の廃材で作ったモニタースタンド