PC-8801FHとWindows10でデータ通信

PC-8801でデータ通信なんて聞くと、モデム機能の付いていた「PC-8801mk2TR」を思い出してしまいますが、そうではなく、iMacのBootCampで起動したWindows10とPC-8801FHとでデータのやりとりができるか検証してみようという話です。

自分が使用したのはBUFFALOのUSBシリアルケーブルサンワサプライのRS-232Cクロスケーブル_KRS-423XF3Kです。

これで「iMAC_5K_2017モデルのBootCampにインストールしたWin10(64bit)」と「PC-8801FH_model30」を繋ぎます。

 RS-232Cケーブルは必ずクロス(リバース)ケーブルでお願いします。

iBUFFALO社のUSBシリアルケーブルとサンワサプライのRC-232Cケーブル

PC-8801とWin10で通信| USBシリアルケーブルの動作確認

USBシリアルケーブルのパッケージには、適応するハードウェアとソフトウェアとして、

「USBポートを装備しWindows7(32bit/64bit)、Vista(32bit/64bit)、XP、2000、Me、98/98SEがプリインストールされているDOS/Vパソコン」

の記述があります。

Windows10では動きますでしょうか。

Windows10を立ち上げて、USBポートにつなぐと赤く点灯します。

iBUFFALO_BSUSRC06のパッケージ裏

↓ ん?、 こいつ、 動くぞ!

iBUFFALO_BSUSRC06をUSB端子に接続すると光る

Windows10がこのUSBシリアルケーブルをきちんと認識できているのか確認します。

Windows10のデスクトップ左下のWindowsマークから、Windowsシステムツール → コントロールパネル → ハードウェアとサウンド → デバイスとプリンター 、で「USB HS SERIAL CONVERTER」のアイコンが見えるので、これを右クリックしてみると「正常に動作しています」とのこと。「COM3」の文字も見えます。

iBUFFALO_BSUSRC06のアイコンを右クリックでプロパティを表示させます

へ、これだけですか。。。以前Windows_Vista(32bit)のノートパソコンでこのUSBシリアルケーブルを使用したときは手動でドライバを入れなければならず大変でした。COMも手探りで「COM0ゼロ」から試して、「COM3」で通信できたときは安堵しました。

USBシリアルケーブルにRS-232Cクロスケーブルを接続し、88の裏側にあるRS-232C端子に繋ぎます。

iBUFFALO_BSUSRC06とサンワサプライのRS-232CクロスケーブルでiMacとPC-88を繋ぎます

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PC-8801とWin10で通信| TransRomで通信できるか確認

「Manuke」さんの「TransRom」をつかって通信できるか確認します。

Manukeさんのサイトから「Project X88000」のページへ行き、TransRomをダウンロードして、これを解凍します。

解凍したTransRomを起動します。起動時にCOMポートと通信ボーレートの設定を求められますので、先ほどUSBシリアルケーブルのプロパティで確認した「COM3」を選択、通信ボーレートを19200bandに設定します。(あくまでも自分の場合です。使うUSBシリアルケーブルや88に合わせて設定してください。たしか88SRとかFRとかは前面のディップスイッチで設定し、通信ボーレートは最高で9600だったような気がします。ご自身で色々やって見てください。)

TransRomで通信ポートと通信ボーレートを設定画面

Windows10 ⇄ USBシリアルケーブル ⇄ RS232Cクロスケーブル ⇄ PC-8801FH と繋ぎ、88の電源を「PCキー」を押しながら入れます。立ち上がった設定画面で、通信ボーレートをTransRomで設定した19200bandに合わせて設定します。もしお手持ちの88の充電池を除去されているのでしたら、コンセントを抜くたびにこの設定値が初期化されるのでその都度設定してください。

また、88を立ち上げた状態で、フロッピーディスクドライブ(FDD)1のランプがついていたらお手持ちのフロッピーディスクを入れてランプを消してあげてください。ランプが消えればフロッピーディスクは取り出して大丈夫です。FDDのランプがついた状態で「TransRom」を操作すると、FD関連のデータ通信時にsyntax errorが発生します。

TransRomで通信する前にPC-8801のFDDのランプを消しておきます TransRomで通信する前にPC-8801のFDDのランプを消しておきます

これから後はTransRomに添付されているメモ帳の通りに作業をすすめていきます。

88の「PCキー」を押しながら立ち上げた設定画面を終了させ、再度立ち上がった88の画面上で「How many files(0-15)?」の表示後、リターンキーを押下。全て大文字で「LOAD"COM:N71XN」と打ち込みリターンキーを押します。

これで88が待機状態になったら、Windows10側でTransRomの「送受信タブ」から「プログラム送信を選択。

88側で「ピー」、とエラー音が鳴ります(これは正常動作)。

88で「RUN」と打ち込みリターンキーを押下。

「ピピピッ」とビープ音が短く3回鳴れば88側の準備はオーケーです。

あとはTransRomを操作して88のデータを受信します。

※ お手持ちの88は年代物のはずです。通信がうまくいかない場合はもしかしたらRS-232C端子の接触が悪くなっているのかもしれません。そんな時はコンタクトスプレーなどを使ってみてください。もしかしたら改善するかもしれません。

PC-8801のフロッピーディスクのランプを消してあげないと、syntax_errorが発生します

↑ syntax_errorがでても、再度「RUN」と打ち込みリターンキーを押し、TransRomでデータ受信を操作すれば大丈夫です。syntax_errorの原因がFDDのランプでしたら、フロッピーディスクを一度いれてランプを消してあげてください

TransRomでPC-88のデータを受信中

無事データ通信が終わった後、USBシリアルケーブルの取説を見たらWindows10にも対応している記述があります。ちょ、ちょ、iBUFFALOさん、パッケージにも「Win10対応」のシールを貼るなどの対応をしないと、買うのをためらう人がいるとおもいますよー。

iBUFFALO|BSUSRC06の取説には「Win10対応」とされています

iBUFFALOさんのウェブサイトではきちんと「Win10対応」とされていました。

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PC-8801とWin10で通信| Manukeさんをはじめ、先達せんだつに感謝

こんな僻地の88ハチハチネタのページにたどり着かれるかたはおそらくManukeさんをはじめ、様々な試みを情報共有してくださる先達らのネット上の遺産に触れられていると思います。その先達せんだつらの労力や88愛に対し、ここに改めて感謝の意を表明します。ありがとうございます。

自分がManukeさんのTransRomをはじめ、こういった試みがあることを知ったのは2010年頃でした。

これらの試みは1990年代よりなされていたようで、自分は慌ててネットオークションで88とともにWindows95が動作するPC-9821を買い求めました。これはWindows95で動作するプログラムの記述が見られたのと、かつてPC-9821を使っていたため、多少の知見があるので使いやすいと思ったためです。

また、実家にあったPC-8801FH本体やモニターは処分されていましたが、大量のフロッピーディスクやマニュアル、冊子類は残っていたのでこれらを自宅へ引き上げました。

自宅にあったPC-88関連のマニュアルや雑誌類 自宅にあったPC-88関連のフロッピーディスク

そんなこんなで、当時、先達らの過去の遺産に散々お世話になったのですが、久しぶりにPC-9821を使おうとしたら、3.5インチFDDが動作不良で、PC-9821にあるデータを他のWindowsPCにもってくることができない、と慌てて調べてUSBシリアルケーブルの存在に気がつきました。

それでもって、さらにうれしい驚きが、Manukeさんがこの「TransRom」を更新していたことです。

88関連の情報のあるウェブサイトでは更新が止まっていたりするものが多々見受けられます(それでも閲覧できる状態にあるだけで助かります)。当たり前ですが88に興味があるのは、あの時代に生きて88に触れていた同年代の方々です。よわいを重ねれば、健康面や家庭の事情などの様々な問題がでてくることは必至ですし、自分もそうでした。

かつての小中学校時代、学校内で「マイコン」「パソコン」などをもつ人などは少なく、たとえ機種は違えどパソコンを持つもの同士で変な連帯感がありました。雑誌や安くないゲームソフトを友人間で貸回したり、ゲームソフトレンタル屋さんでソフトを借りてナニした友人が、頼みもしないのに私の分までナニして、そのフロッピーディスクをタダでくれてしまうようなことですが、そんな当時のエッセンスというか雰囲気を「Manukeさんら先達らの試み」に感じてしますのは、私が感傷的でおっちょこちょい・・・・・・・・だからでしょうか。

長文の蛇足、失礼しました。みなさまも健康に留意しつつ、よきレトロPCライフをお送り下さいませ。