PC-98DO+|分解と電池除去
以前、稼働品のPC-98DOを手に入れたのですが、専用キーボードがなかったので、オークションサイトで「電源が入らないPC-98DO+本体」と「専用キーボード」のセットを落札。DO+のキーボードをDOにつないで動かせたのでよかったのですが、岩崎浩文氏の電子書籍を読み、起動しないPC-98DO+もアルミ電解コンデンサーを交換すれば動くかもしれない、と考えて、修理を試みました。
レトロPCに使われているニッカド充電池とアルミ電解コンデンサの液漏れが起こると、基板のパターンを侵し壊してしまうことがあるようなのです。特に充電池周りの方が高い確率で液漏れするようです。
コンデンサ交換のハードルに比べると、ニッカド充電池の除去は、ニッパーで切断すればいいだけですので比較的簡単だと思います。
オークションサイトなどを見ていると、PC98DO+の稼働品が出品、落札されているようです。貴重な稼働品を手に入れたかたが、いち早くニッカド電池を除去できるよう、分解の記録を情報共有できればと思います。
※尚、この作業は偶々私が手にしたPC-98DO+を分解したものであり、全ての本体が同じ構造かどうかもわかりません。またこのページを参考にされて分解作業をおこなった結果についての損害なども保証できません。特に電源部分などは高圧電流の感電などの危険性もあります。これら危険性を理解できない場合は作業などなされないよう、よろしくお願いします。
分解後、組み立てなおす際に困ることのないよう、本来あった状態を細かくスマホなどで撮影しながら行うことをおすすめします。
PC-98DO+のコンデンサ交換した時の記事はこちらから
1.PC-98DO+/ 本体カバー取り外し
まずは本体カバーを取り外します。左右側面のネジを2本ずつ、計4本外します。
さらに本体背面の上側3本のネジを外すと、本体カバーが外れます。
背面のそのほかのネジも全て外し、背面パネルも取り外します。
2.PC-98DO+/ 電源ユニット
電源ユニットは2本のビスで本体に固定されているので、これを外します。↓
さらに本体につながる配線も外します。フロッピーディスクドライブのケーブル端子は引っ張れば外れますが、年代物なので慎重に。爪がついてる端子も慎重に。
電源ファンのネジ3箇所はずしてファンを清掃します。
!電源ユニットのカバーは4箇所のネジで固定されていますが、これを開けると充電されたコンデンサーによる感電のおそれがあります。以下、必要のない方は読み飛ばしてください。
電源ユニット基盤は2本のビスと1つの樹脂製スペーサーでカバーに固定されています。さらにケーブル端子を外して基盤を取り外します。
電源基板上のアルミ電解コンデンサーを特定していきます。
- 「C606」→ KMG 105℃ 200V 680μF(M)
- 「C610」→ KME (M)105℃ 50V 10μF
- 「C611」→ KME (M)105℃ 50V 10μF
- 「C623」→ KME (M)105℃ 50V 0.47μF
- 「C653」→ nichicon 105℃ 10V 1500μF
- 「C654」→ nichicon 105℃ 25V 560μF
- 「C655」→ nichicon 105℃ 25V 100μF
- 「C656」→ Rubycon -55℃~+105℃ 50V 100μF
- 「C657」→ Rubycon -55℃~+105℃ 25V 47μF
- 「C664」→ nichicon 105℃ 10V 1500μF
なお個体によって使われているコンデンサが違うかもしれないので、ご自身で特定してみてください。
3.PC-98DO+/ FDDユニット
次はFDDユニットを取り外します。まずフロントパネルの前面についているつまみを外します。引っ張るだけで外せました。(「これも個体差があるかもしれないので慎重にお願いします)
↓ FDDユニットの土台と本体が計4本のビスで固定されているので外します。
↓ FDDは土台とそれぞれ4本のビスで固定されています。側面2本と底部2本です。
↓ ビスを外してスライドさせれば、スポッとFDDが抜けます。
取り急ぎ充電池除去をなされるのでしたら、FDDは土台につけたままでいいと思います。
4.PC-98DO+/ FDDケーブル、基板上カバー、フロントパネルの取り外し
↓ PC98DO+の基板上のカバー2つを外していきます。まずFDDのケーブルを抜きます。爪がある端子は爪をひらけば外れます。爪がない端子はただ引っ張るだけですが、ケーブルの断線が怖いので、慎重にお願いします。ソレイドを端子横のくぼみに差し込んで引っ張ると抜きやすいかもしれません。
↓ さらに2階建の基盤の上にあるカバー×2を外します。
フロントパネルから見て奥の方のカバーは増設スロット基盤(?)を串刺しにするようにカバーとビス留めされているので、これも外します。
↓ 増設スロット基盤(?)は引っ張るだけで外せます。
↓ フロントパネルは1本のビスと正面の2本の爪、本体下部の3本の爪で固定されています。さらにフロントパネルの電源ランプが1本のビスでとめられています。これも外します。
5.PC-98DO+/ 2階基板の取り外しとコンデンサ特定
2階建基盤の2階部分を外します。細長い2F基盤の左右に配置されている2箇所の端子が1Fの基盤上の端子と連結され、左右の端子そばにある樹脂製スペーサーで固定されています。スペーサーの出っ張り部分をソレイドなどで押さえながら外します。
2階部分のアルミ電解コンデンサを特定していきます。
- 「C1」→ CE85℃(M)531 25V 100μF ルビコン
- 「C2」→ 85℃ 25V 22μF nichicon
- 「C3」→ CE85℃(M)512 50V 10μF ルビコン
- 「C4」→ CE85℃(M)512 50V 10μF ルビコン
- 「C5」→ CE85℃(M)512 50V 10μF ルビコン
- 「C6」→ CE85℃(M)512 50V 10μF ルビコン
- 「C7」→ CE85℃(M)512 50V 10μF ルビコン
- 「C8」→ CE85℃(M)512 50V 10μF ルビコン
- 「C9」→ 85℃ 25V 22μF nichicon
- 「C10」→ 85℃ 50V 3,3μF nichicon
- 「C11」→ CE85℃ 50V 1μF ルビコン
- 「C12」→ CE85℃(M)512 50V 10μF ルビコン
- 「C13」→ CE85℃(M)33 50V 1μF ルビコン
- 「C14」→ CE85℃(M)33 50V 1μF ルビコン
- 「C15」→ CE85℃ M 4057 50V 4.7μF ルビコン
- 「C16」→ CE85℃(M)531 25V 100μF ルビコン
- 「C17」→ CE85℃(M)512 50V 10μF ルビコン
- 「C20」→ CE85℃ M 4057 50V 4.7μF ルビコン
- 「C21」→ CE W(M)519 85℃ 25V 220μF ルビコン
- 「C79」→ CE85℃ M 4057 50V 4.7μF ルビコン
- 「C80」→ CE85℃ M 4057 50V 4.7μF ルビコン
- 「C81」→ CE85℃ M 4057 50V 4.7μF ルビコン
6.PC-98DO+/ 1階基板の取り外し、充電池の除去、コンデンサ特定
↓ 1Fの基盤が見えてきました。
↓ まずフロントパネル側より、キーボード接続端子うえのビスとフロントパネル側から金具を固定している2本のビスも外します。
↓ 次に基盤上の2つの端子を外して、2つのスペーサービスも外します。
また、基盤を固定してるビスを外す時にドライバーと干渉してしまうため、スピーカーも外します。
↓ あとは基板上周囲を固定している7カ所のビスを外します。
↓ 基板うしろ側の金具も外します。せっかくなので、フロント側の金具と共にピカールで磨きます。
↓ 充電池が液漏れしています。早速取り外します。
手っ取り早くニッパーで足を切り離します。ICの逆側を切れば電池を多少動かせますので、電池を持ち上げるようにしてIC側の足も切ります。
1階の基盤上のコンデンサーを特定します。
- 「C1」→ CE W M4431 85℃ 25V 22μF Rubycon
- 「C2」→ CE W M4431 85℃ 25V 22μF Rubycon
- 「C3」→ CE W M544 85℃ 25V 220μF Rubycon
- 「C4」→ CE W M4431 85℃ 25V 22μF Rubycon
- 「C5」→ CE W M4431 85℃ 25V 22μF Rubycon
- 「C6」→ PF (M) 105℃ H9029 50V 1.5μF
- 「C7」→ 85℃ D.E.99 HW 50V 4.7μF SANYO
- 「C8」→ 85℃ A8940 50V 10μF nichicon
- 「C9」→ (M)85℃ 25V 47μF □SME
↓ 充電池を外したのち、液漏れで汚れた基盤を掃除してみたら、、、うーん、やられてるみたいですね。
電池から漏れた液で基板が壊れてしまうと見聞きしておりましたが、実物をみたのはこれが初めてです。
レトロPCの故障は、アルミ電解コンデンサーと充電池からの液漏れが大きな原因だそうです。コンデンサー交換は半田ゴテなどを使わなければいけませんが、充電池ならニッパーで切り離すだけです。このページを訪れてくださった方は、同じ時代にパソコンに興味をもっていた同世代の人だと思います。そして、もしこれらの、ガラクタ 貴重なレトロPCをお手持ちであれば、壊れる前の対策をなされることを強くオススメします。
2019.2