裁断機|カール事務機 DC-210N
ドキュメント・スキャナーを使い、自分の蔵書を電子化(本の自炊)をするためには、本を裁断し、ページを1枚ずつペラの状態にしなければいけません。
そのための道具が色々あるようですが、何を使うか思案しました。
ロータリーカッター+アルミ定規 | 安価に導入できる反面、裁断位置に定規をあててカッターで裁断する。労力がかかり大変。 |
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カール事務機 DC-210N | 一度に裁断できる厚さが3.6mm。紙にして約40枚。本を80ページ程に分割する必要があります。 |
Durodex 200DX | 一度の裁断可能厚は18mm。文庫本や新書、マンガ本ならば背表紙ごと一発で裁断できそうです。 |
ロータリーカッターとアルミ定規
の組み合わせでの作業では、裁断の位置極めに気を使いそうだし、時間も掛かりそうです。
カール事務機 DC-210Nは、本を分割する手間がかりますが、切断箇所を固定できて、カッターを往復させるだけ。カッター刃やカッターマットなどの消耗品も比較的安価です。
Durodex 200DXは値段がはりますが、効率がよく作業がはかどりそうです。刃が鈍くなってきたときは、同製品の販売店である高崎精器さんへ機器を送って、刃をといでもらったり、交換してもらう「らくらくメンテナンスパック」が推奨されています(自分で刃の交換をすることもできるようです)。それなりのお金がかかります。
もちろん他にもいろんな裁断機がありますが、大まかに分けると、「安価かつ手間を惜しまない」か、「しっかり先行投資してスピード、効率優先」、もしくは「その中間」という選択になります。
自分は、まだ自炊がどんなものか分からないし、スキャナーにもお金がかかるし、と考えて「カール事務機DC-210N」を選択、購入しました。
== 目次 ==
- 1.裁断前の下準備
- 2.本の分割作業
- 3.裁断作業
- 4. 消耗品
- 5. DC-210N|総括
・しおりやホコリなど、障害物の除去
・カッターの準備
・文庫本や漫画本などの場合
・ハードカバーの場合
・薄い雑誌の場合
・厚みのある雑誌の場合
・1センチマスの方眼
・ノリに気を付けろ
・替刃
・カッターマット
1.裁断前の下準備
裁断器DC-210Nで一度に裁断できる目安は40枚(3.5mm)とされています。
大抵の本は3.5mm以上の幅がありますので、これを裁断可能な幅に分割する必要があります。
しおりやホコリなど、障害物の除去
裁断後の本をスキャンしたときにしおりやレシートなどが挟まっていたのに気づかず、スキャンのやり直しになってしまうと時間と手間の無駄なので、はじめに本をペラペラとして、確認をしておきます。また本のページに埃やチリなどが見られる場合は卓上箒などで落としておきます。
カッターの準備
本を分割する際、切れ味の悪いカッターを使うと紙粉が多く発生します。この紙粉がスキャナーのセンサー部にのると取り込んだ画像に線が発生します。
ですので、カッターの切れ味が落ちましたら、刃を折ったり交換して更新します。
2.本の分割作業
dc-210nは最大で1度に40枚(80ページ)の裁断が可能とされていますが、前述のとおり紙質などにより厚みが違いますし、裁断時に紙質の影響により切断面が曲がってしまうこともあります。
ですので、自分は50〜70ページごとに分割しています。
文庫本や漫画本などの場合
一番楽なのが文庫本などです。人によってはカッターなどを使わず、手で引きちぎる猛者もいらっしゃるようですが、自分は丁寧にカッターで切り分けます。
ある程度まとめた冊数を、週末など時間を作って流れ作業のように分割しています。
ハードカバーの場合
ハードカバーの場合は、表、裏にある厚紙(?)の部分にカッターの刃をいれて、中身のページ部分と分離する必要があります。
始めはおっかなびっくりで取り掛かりましたが、慣れれば簡単です。
刃を入れる角度が肝要ですが、これも本によって違うようです。
スパッとうまくいかなくても、結局はハードカバー部分を取り除けばいいので難しいものではありません。
ハードカバー部分を取り除いたら、あとは文庫本などと一緒です。カッターで分割していきます。
薄い雑誌の場合
ニューズウィークやアエラのような、薄い雑誌の場合は、そのまま一発で裁断することができます。
ただし、切断し廃棄する幅をある程度持たせないと、ホチキスに刃がかかり傷ついてしまいます。
ギリギリの際で切断したい場合などは、ホチキスを外してから裁断します。
厚みのある雑誌の場合
週刊誌など、厚みがありホチキス止めのものは少し手間がかかります。
ペンチなどでホチキスを外し、バラバラにした状態で、中央のホチキス穴を目安にして裁断、もしくはホチキス穴付近の折り目付近のある程度の幅を切り捨てます。
これは、折り目がスキャナーに引っかかることがあるためです。雑誌の紙のクセによって、方法を変えてください。
裁断後に、ページの順に積み重ね戻していきます。雑誌などはページ数が記されていないものもあるので、作業スペースを確保した上で、間違えないよう取り掛かります。
3.裁断作業
本の分割が終わったら、いよいよ裁断作業です。
1センチマスの方眼
DC-210Nの上には1センチ幅でマス目が引いてあります。
本の裁断幅をこのマス目を使い、「この文庫本は10センチのラインが目安でいいな」などとつかっています。
慣れてくれば完全な流れ作業になるので、この方眼をうまく使いサクサクと裁断していきます。
ノリに気を付けろ
裁断する幅を少なくし、「のりしろ」に裁断位置がかぶると、裁断済みのぺらイチの紙に、製本のときに使ったノリがついた状態になります。
この状態でスキャンスナップをつかうと、センサー面にノリがつき、その後のスキャン画像に線ができてしまいます。
このノリは結構しつこく、除去するのに苦労します。自分はメーカー純正のF1クリーナーや無水エタノール
を使います。
4. 消耗品
裁断機の切れ味が落ちると紙粉が発生します。切れ味を回復させるにはカッターの刃やカッターマットの交換が必要です。DC210-Nには替刃が1つ、ミシン刃
が1つ、カッターマット
が1本付属しています。
替刃
本の中には、製本にホッチキスが使われているものがあります。雑誌などはわかりやすいのですが、時々外観で見てもわからないようなノリ付けの中にホッチキスが使われているものなどもあります。
このホッチキスにカッターの刃が噛むと、1発で刃が鈍ります。
ホッチキスさえ気をつけていれば結構刃持ちはいいようです。
カッター刃の交換はカッター刃のケースを使います。まずホルダーのネジを緩め外します。刃を外すには空のケースを使って刃を少し回転させて外します。新しい刃をつけるときは逆の手順でおこないます。
カッターマット
切れ味への影響は替刃よりカッターマットの方が大きいように感じます。
この細長いカッターマットは、「裏表面」と「左右入れ替え」で計4回交換できます。
これをケチってもいいのですが、切れ味が鈍ると紙粉が多く発生し、スキャンの時に紙粉が悪さをするため結局スキャンのし直しになり、時間がかかってしまいます。
人生における時間は有限です。適度に交換して裁断作業をしてください。
5.DC-210N|総括
本の電子化(本の自炊)をはじめてから、このDC-210Nを使い始めて6年になります。同時期に購入したスキャンスナップiX500は故障してiX1500に買い替えましたけど、この裁断器は頑丈で故障知らずです。
自宅にある蔵書を一気にスキャンして処分したい、と考えるならば違う選択肢になるかもしれませんが、本の電子化(本の自炊)に初めて取り組むのでしたら、裁断器としては、このDC-210Nは良い選択肢になると思います。
はじめてスキャナーなどを揃えて本の電子化に取り組む際、スキャン設定など勝手がわからないと思います。
自分は過去、漫画画像を「ボルドー化」するなど、今から考えるといろいろ無駄なことをしてしまいました。
裁断してスキャンした本を、捨ててしまった後にスキャンしなおそうとしても後の祭りです。
スキャナーの使い勝手を掴むまでは、一気に蔵書を処分しようとせず、じっくり取り組み、後に「スピードアップ」を考えたときに、一冊まるまるスパッと裁断できるDURODEX-200DXなどの裁断器の購入を検討するのがいいのではないでしょうか。
ではみなさまも、よき読書人生をお送りください。
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追記 2021.01