PC-98DO|分解清掃と電池除去、コンデンサ交換、ホワイトニング
稼働品のPC-98DOの充電池除去、アルミ電解コンデンサ交換、清掃を行います。
PC-98DOはその昔PC-88ユーザーだった自分が、「98と88の両方のゲームができるなんて最高」とあこがれるも、当時経済的に手に入れられるものではなかったのです(定価29万8千円)。
2010年ごろだったか秋葉原を訪れた際に「88なんて売られていたりするのかな」とそれらしき店で聞いてみるも「98じゃなくて88ですか」なんて言われたりして、がっかりした自分が、オークションサイトで88を見つけ、嬉しくなって88本体やゲームソフトなどを落札していたころ、調子に乗ってPC-98DOも落札してしまいました。
岩崎浩文氏の電子書籍を読み、レトロPCのアルミ電解コンデンサーは全て寿命を迎えていること、充電池を除去しなければ液漏れで基板を破壊してしまう事を知りました。ですので充電池の除去とアルミ電解コンデンサの交換、パネルやボディの洗浄と美白を行います。
!尚、この作業は偶々私が手にしたPC-98DOを分解したものであり、全ての本体が同じ構造かどうかもわかりません。またこのページを参考にされて分解作業をおこなった結果についての損害なども保証できません。特に電源部分などは高圧電流の感電などの危険性もあります。これら危険性を理解できない場合は作業などなされないよう、よろしくお願いします。
分解後、組み立てなおす際に困ることのないよう、本来あった状態を細かくスマホなどで撮影しながら行うことをおすすめします。
1.PC98-DO|本体カバー取り外し
まずは本体カバーを取り外します。左右側面のネジを2本ずつ、計4本外します。
さらに本体背面の上側3本のネジを外すと、本体カバーが外れます。
背面のそのほかのネジも全て外せば、背面パネルを取り外せるのですが、拡張ボードがささっています。
自分はこれの外し方がわかりませんでした。が、拡張ボードのネジを外し(これにははじめからビスがありませんでしたが)、そのまま引っこ抜けば外れます。
この時は外し方が分からず、無理をして壊すのが怖かったので先に電源を外しました。ちょっと見苦しいですが、そのまま作業を続けます。
2.PC98-DO|電源ユニットの清掃とコンデンサ特定
電源ユニットは2本のビスで本体に固定されているので、これを外します。↓
さらに本体につながる配線も外します。フロッピーディスクドライブへのケーブル端子は引っ張れば外れますが、つまみにくいのでソレイドなどを使ってください。爪がついてる端子も慎重におねがいします。
!電源ユニットのカバーは4箇所のネジで固定されていますが、これを開けると充電されたコンデンサーによる感電のおそれがあります。これらの危険性が理解できない方は以下の作業をなされませぬよう、よろしくおねがいいたします。以後、必要のない方は読み飛ばしてください。
電源ファンの三本のビスを外し清掃します。
電源ユニット基板は2本のビスと1つの樹脂製スペーサーでカバーに固定されています。さらにケーブル端子を外して基板を取り外します。
基板中央を固定する樹脂製スペーサーはラジオペンチで摘めば楽に外せます。マイナスドライバーなどで押し込んでやろうとすると、滑って基板を傷つけたりするかもしれませんので、気をつけてください。
電源ユニット下部のスイッチ部分も清掃します。
電源基板上のアルミ電解コンデンサーを特定していきます。
- 「C606」→ KMG 105℃ 99(8)200V 680μF(M)
- 「C610」→ KME (M)105℃ 50V 10μF
- 「C611」→ KME (M)105℃ 50V 10μF
- 「C623」→ KME (M)105℃ 50V 0.47μF
- 「C653」→ nichicon PL(M) 105℃ H8930 10V 1500μF
- 「C654」→ nichicon PF(M) 105℃ H8920 25V 560μF
- 「C655」→ nichicon PR(M) 105℃ H8930 25V 100μF
- 「C656」→ Rubycon -55℃~+105℃ 534 SSP 50V 100μF
- 「C657」→ Rubycon -55℃~+105℃ 548 SSP 25V 47μF
- 「C664」→ nichicon PL(M)105℃ H8930 10V 1500μF
なお個体によって使われているコンデンサが違うかもしれないので、ご自身で特定してみてください。
3.PC98-DO|フロッピーディスクドライブ(FDD)
次はFDDユニットを取り外します。まずフロントパネルの前面についているつまみを外します。引っ張るだけで外せました。(PC-8801FHと比べて、PC-98DOの方がゆるい気がします)
↓ FDDユニットの土台と本体が計4本のビスで固定されているので外します。
↓ FDDはFDDの土台とそれぞれ側面2本のビスで固定されています。これもDO+とちがいますね。
ビスを外せばスポッと抜けます。
FDDのカバーのビス二本を外し、中を清掃します。
FDD内部にある位置決め用のセンサーをずらすと復帰が事実上不可能とのことなので、清掃とスピンドルへの潤滑剤を補給するにとどめます。(小生はシリコンスプレーを使用)
4.PC98-DO|増設基板とカバー取り外し
↓ PC-98DOの増設基板を取り外します。バックパネル側の2つのビスを外し、引っ張るだけで外せます。
↓ FDDのケーブルも抜いておきます。
年代物ケーブルの断線が怖いので慎重に作業します。
端子の窪みにソレイドをいれて、ゆっくり引けば外れます。左右交互に少しずつ外していきます。
↓ 増設基板の上にあるカバーを外します。まず上から見てビス3箇所を外します。
内側にあるビスを外す時は、うっかりするとドライバーを基板につきたててしまうので、気をつけて作業します。
↓ さらに増設スロット基板(?)とカバーを固定してあるビスも外します。
↓ ドライバーでは柄の長さが邪魔になるためアネックス(ANEX) ラチェットドライバーを使いました。
↓ 増設スロット基板(?)は引っ張るだけで外せます。
5.PC-98DO|フロントパネル、本体金属カバーの清掃、ホワイトニング
↓ フロントパネルは本体金属筐体と1本のビスと正面の3本の爪、本体下部の2本の爪で固定されています。さらにフロントパネルの電源ランプが1本のビスでとめられています。さらにスピーカーを固定しているビス一本も外します。
↓ パネルが外せました。さらにパネル上の部品も外していきます。
↓ こいつは内側から押せば外せました。上下がある様な。今見えている面が下側です。
↓ マウス端子カバーも外します。錆びたバネは呉556をさして磨きます。
フロントパネルと本体金属カバーは重曹の激落ちくんでザッと洗います。
その後、フロントパネルの漂白にはワイドハイターEXを使います。10倍程度に薄めて6時間✖️2日間日光に晒しました。しかし1日目で十分白くなりました。2日目は余計だったかもしれません。
金属カバーはワイドハイターを2倍に薄めたものを刷毛でヌリヌリして陽にさらしました。以前は養生などを厳重に行いましたが、今回は面倒なのでそのままです。何度か時間をおいてヌリヌリ。その度に陽に当てる場所を変えるために動かします。
↓ 結果はこんな感じです。金属カバーは結構汚れが目立っていたのですが、激落ちくんで洗った時点で大分汚れはおちていました。
6.PC-98DO|メイン基板の取り外し
PC-98DOはDO+と違ってメイン基板は1枚でスッキリですね。これを本体金属ボディから外していきます。
↓ まず基板上のスピーカーケーブル端子と電源ランプ端子を外します。
さらにフロント側から2本のビスを外し、基板上のビスと中央のスペーサーを外します。
↓ これで金属ボディから基板が外れました。さらに正面側のキーボード端子そばのビスとマウス端子のビスを外せば金属のバーが外れます。このマウス端子の所には金属部品が一つ挟まる形で固定されています。PCを組み立て戻す時にわからなくならない様、デジカメなどで撮っておいてください。
↓ 基板を外した後の金属ボディーですが、左上の箇所を見てください。充電池の液漏れ箇所です。
結構強烈ですね。
7.PC-98DO|充電池除去とメイン基板上のコンデンサ特定
まず基板上の充電池を除去します。これはニッパーで足を切ればいいので簡単です。もし稼働するレトロPCをお手持ちで、それに充電池がついているのでしたら何よりもまず古い充電池を除去してください。片側の足をニッパーで切って、電池を傾ければ反対側の足を切るのもかんたんです。 ↓
さらに基板上のアルミ電解コンデンサを特定していきます。PC-98DOはPC-98DO+と違い、メイン基板が1枚なのでコンデンサの数も少ないです。
- 「C1」→ 85℃ M761 CEW 220μF 25V ルビコン
- 「C2」→ O.E.99 HW 85℃ 50V 4.7μF SANYO
- 「C3」→ CE W 85℃ M761 25V 220μF ルビコン
- 「C4」→ CE W 85℃ M3663 25V 100μF ルビコン
- 「C5」→ VX(M) 85℃ H8930 16V 220μF ニチコン
- 「C6」→ CE W 85℃ M761 25V 220μF ルビコン
- 「C7」→ O.D.99 HW 85℃ 50V 4.7μF SANYO
- 「C8」→ O.D.96 HW 85℃ 25V 47μF SANYO
- 「C9」→ CE W 85℃ M726 50V 10μF ルビコン
- 「C10」→ O.E.99 HW 85℃ 50V 4.7μF SANYO
- 「C11」→ A8928 VX(M) 50V 1μF ニチコン
- 「C12」→ CE W 85℃ M726 50V 10μF ルビコン
- 「C13」→ O.E.99 HW 85℃ 50V 4.7μF SANYO
- 「C14」→ O.E.99 HW 85℃ 50V 4.7μF SANYO
- 「C15」→ O.E.94 HW 85℃ 50V 0.47μF SANYO
- 「C16」→ CE W 85℃ M726 50V 10μF ルビコン
コンデンサを買いに行った店舗ではルビコンは数をまとめて注文になる、とのことなので全部ニチコンで揃えました。
8.PC-98DO|メイン基板のコンデンサ交換作業
コンデンサーをμFとVの数値を同じものに交換していきます。概ねニチコンで揃えました。
基板の裏側からコンデンサの足の場所を特定し、これを熱しながらはずしていくのですが、半田ごての温度設定を370度程度にして作業していきます。
なかなかハンダが溶けず苦労したのですが、コテ先を標準で付いていたものからD型というものに変えたらあっさりとハンダが溶けます。コテ先からハンダへうまく熱が伝わらなかったようです。(自分が使ったのはHAKKO T18D24と云うヤツです)
スルーホールの中からハンダを綺麗に除去するのはハンダ吸い取り器でなければならないのかな、と思っていましたがハンダ吸い取り線でも結構うまくいきます。
スルーホール内にハンダが残ってしまった場合は、交換するコンデンサの足を、残ったハンダをコテで熱しながら差し込んでいきます。くれぐれもフラックスをきちんと使い、適切な温度設定したハンダごてでおねがいします。
9.PC-98DO|動作確認(V1S、V1H、V2モード、ゲームソフト起動)
このPC-98DOは元々動作品であったもので、延命措置のためメイン基板のコンデンサ交換をしました。
電源のコンデンサ交換は、基板上の部品が混み合っているため失敗が怖いので、今回は見合わせます。
動作しないPC-98DO+の電源で一度練習してから再度試みることとします。
まずPC-88モードでのV1、V2モード切り替えを確認します。
この98DOは本体のみで売られていたため、後にキーボードを手に入れるため、98-DO+の起動しない本体とキーボードのセットを買い求めました。98-DO本体の88⇔98モード切り替えスイッチを88側にしたうえで、キーボードの「GRPH」キーをおしながら起動(もしくはリセット)すると画面が切り替わり、「V1S」「V1H」「V2」の各モードが選択できるようになります。
ゲームソフトを動かして見ます。88モードで「大航海時代」、98モードで「太閤立志伝」「パワードール」「A列車で行こうⅢ」で起動確認します。
この時代のゲームソフトは地図やマニュアル類が盛りだくさんですね。
無事動作しました。本体に比べてモニターやキーボード、うしろのコンセントパネルの黄ばみが目立ちます。キーボードは後々にホワイトニングする予定ですが、モニターとコンセントカバーは未定です。
その後、PC-98DO+のキーボードをホワイトニングしました。
そのときの記事はこちらからどうぞ。