カセット・ウォークマン|SONY_WM-EX911のゴムベルト交換
昔買って新品のまま死蔵されていた、ソニーのカセットテープのウォークマン、WM-EX911が箱に入った状態で自宅で保存されておりました。
再生ボタンを押してみると、キュルキュルと異音がしてテープは回転しませんが、反応はします。
ゴムバンドの劣化が故障の原因と推測し、修理してみることにしました。
== 目次 ==
- 1.ウォークマン_WM-EX911|現状チェック
- 2.ウォークマン_WM-EX911|分解
- 3.ウォークマン_WM-EX911|ゴムベルト交換
- 4.ウォークマン_WM-EX911|組み戻し
・巻き取り式のリモコン・イヤホン
・バッテリー|充電池|乾電池ケース
・隠しスイッチ?
・裏側のビスを緩める
・ガム型充電池の蓋
・イヤホン端子の出っ張り
・やはり切れていたゴムベルト
・ゴムベルトの長さ
・ゴムベルト購入で迷走
・ゴムベルトの厚みは0.5㎜
・テープスピード調整ネジ
・劣化した巻き取りイヤホンの処理
・保護フィルム
1.ウォークマン_WM-EX911|現状チェック
久方ぶりに再発掘されたウォークマン。どういった製品なのかみていきましょう。
巻き取り式のリモコン・イヤホン
携帯ミュージック・プレーヤーやラジオでもあります、巻き取り式のイヤホンです。これにはさらにリモコンまで巻き取り式で付いています。
本体側には、「再生」「早送り」などのボタンはついておらず、このリモコンの細いコードが切れたら何の操作もできなくなってしまいます。
ラジオなどでも、この巻き取りのイヤホンが付いている製品がありますが、自分はこれが好きではありません。
自分で使うイヤホンを選びたいこともありますが、こういった製品のイヤホンはみな、時間が経つと劣化してボロボロになっています。
しかし、現行品のラジオなどでも、こういった製品があるからには、「巻き取り式のイヤホンが好き」という人もいらっしゃるのでしょう。
皆さんはどうですか。
バッテリー|充電池|乾電池ケース
このWM-EX911には、その形状から「ガム電池」と呼ばれた、充電式ニカド電池「NC-6WM」と充電器が付属し、さらにソニーアルカリ乾電池「AM3(N)」と乾電池ケースが付属します。
もう20年余り経過したアルカリ乾電池は液漏れし、それが結晶化しています。危険です。
乾電池は、当時ソニーが「ウォークマン専用電池」として売り出していたもので、通学時に自分もキオスクなどで買い求めて、使っていました。
乾電池ケースは、これが「ある」か「ない」かで、中古品なども値段が変わってくるのではないでしょうか。
乾電池ケースがあるだけで、動作確認が容易にできます。
電池の持続時間は、付属の充電式ニカド電池で約5時間、ソニーウォークマン用のアルカリ単三電池で約13時間、これの併用で約13時間、ソニー乾電池SUM-3(NS)(マンガン電池かな?)で約3.5時間だそうです。
また、乾電池ケース横のDC1.5Vジャックでコンセントを使っての使用もできるそうです。
隠しスイッチ?
カセットテープを入れる蓋を開けると、内側にスイッチが2つあります。「MODE BL SKIP」と「DOLBY NR」。
「DOLBY NR」はよくわかると思いますが、「MODE BL SKIP」とは何のことでしょう。
「BL SKIP」とは「ブランク・スキップ」のことだそうで、これをONにしておくことで、テープに12秒以上の空きがあると、早送りして次の曲を再生するそうです(完全な無音状態でないと作動しないこともあり)。
2.ウォークマン_WM-EX911|分解
電池をいれて再生ボタンを押した反応で、ゴムベルトの劣化による故障だと判断し、これを交換すれば直るのではないか、と判断しましたので、ゴムベルト部分にアクセスできるよう、分解していきます。
このWM-EX911は、カセットテープを入れる側ではなく、裏のリモコン側だけを外せばゴムベルトにアクセスできます。
この年代のウォークマンは同じ構造のようです。
裏側のビスを緩める
ウォークマン裏側を押さえているビスのみ外します。すなわち本体底面の2本、上面の2本、左側面の一本です。
はじめ、構造がよくわからず、必要のないカセットテープ側も外してしまいました。皆様につきましては周り道のなきよう、必要最小限の労力でゴムベルト部分までたどり着いてください。
ガム型充電池の蓋
ウォークマン裏側のビスを全て外しても、充電池の蓋を外さないと、裏側の外殻がはずせません。自分ははじめ、これがわからず、気づくのに暫し時間がかかりました。
ガム電池の蓋をあけると内側に金属部品が見えます。
この金属部品の先端部分で、プラ樹脂製の蓋が保持されています。この金属の先端部分をマイナスドライバーなどで優しくこじり上げてあげれば、樹脂製の蓋は外れます。
イヤホン端子の出っ張り
裏側のビス全てと充電池の蓋を外しました。
このまま裏型の外殻を持ち上げるようにすれば、すんなりと外れ、、、外れ、、ません。
イヤホン端子の部分が、ウォークマンの外殻越しに突き出るようになっています。
ですので、イヤホン端子側に、外殻を気持ち押し出すような力加減で持ち上げると開きます。
初めての時は、その構造がわからなかったので、動画ではガバっと開いて驚いています。
3.ウォークマン_WM-EX911|ゴムベルト交換
製造されてから一度も使われないままでいたウォークマンの中身を拝見します。
やはり切れていたゴムベルト
開腹すると、ビローンと切れたゴムベルトが垂れ下ります。
気持ちニチャっとしていて、取り除こうとしてもくっついていたりします。
滑車部分にくっついているゴムの残滓は無水エタノールと綿棒で擦りとります。
ゴムベルトの長さ
ゴムベルトを調達するにあたり、長さを選ばなくてはなりません。
切れたゴムベルトをつなぎ合わせておおよその長さを推測しようとしても、長い期間の劣化で伸びてしまっているかもしれません。
ですので、タコ糸をゴムベルトのように這わせて、長さを求めました。
ゴムベルト購入で迷走
最初、Ali-Expressで「ゴム厚み0.7mm、サイズ違いで30本入り」というものを購入しました。
注文したのは昨年8月。配送には75日ほどかかるとのことでしたので、届いたら作業の続きを始めようと目論んでおりました。
しかし、75日をすぎても届かず、「コロナだし、しようがないな」と思っておりました。
やがて年越し間際になって、日本に到着したと表示されるようになり、配達完了となりました。しかし、手元に届いてなどおりません。
これに関して業者に問いあわせても、もう少し待ての一本槍で、国際郵便番号で郵便局に問い合わせるも、その番号ではヒットしません、と言われました。
諦めてAmazonで「サイズ違いで30本ほど」というものを注文、翌々日に届きました。
ゴムベルトの厚みは0.5㎜
届いたゴムベルトから、6.5mmほどのものを選び装着、ウォークマンを仮組みして動かしてみます。
これで動くには動くのですが挙動がおかしいのです。どうやら、ゴムに厚みがあるため、ゴムベルト同士が干渉してしまっているようです。
そのため、今度は「ゴムの厚み0.5mm、長さ56m」というものを注文し直しました。こちらも翌々日に到着。
これをつけて動かしてみましたら、無事カセットテープを再生することができました。
4.ウォークマン_WM-EX911|組み戻し
無事ゴムベルト交換ができたので、組み立て直していきます。
テープスピード調整ネジ
組み直す前に、テープを再生してみて速度がおかしいと思ったら、基板上に調整ネジがあります。
これを回しながら正しいテープスピードに調節してください。
組み直して、使っているときにやはり違和感を覚えましたら、開腹して調整してください。
劣化した巻き取りイヤホンの処理
巻き取り式のイヤホンは、携帯ラジオやウォークマンで採用された機種を時々見かけます。
イヤホンを選んでつかいたいので、こういった機種は敬遠するのですが、巻き取り式の方が好きな方もおられるようです。
そして、敬遠したい理由のもう一つが、経年劣化してボロボロになったものをよく見かける、ということです。
このボロボロになったイヤホンは、取り外したのち、ラインを結んでマスキングテープで巻いておくことにしました。
保護フィルム
無事ゴムベルト交換を終え、組み戻しましたウォークマン。全くの未使用品でしたので表面に傷もなくきれいなものです。
せっかくですので、テープの蓋側表面に汎用の保護フィルムを貼ってみました。
青春時代にカセットーテープを多用した世代ですので、過去の ゴミ 遺産が多く残っております。これらを再度楽しむことができるようになりました。
2022.1
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