RaspberryPi_レトロパイでPC-8801エミュレータのQuasi88を楽しむ

シングルボードコンピュータのRaspberry Pi(ラズベリーパイ)

このラズベリーパイのOS、レトロパイで、PC-8801のエミュレータ、Quasi88が楽しめるようですので、早速使ってみました。

== 目次 ==

 

 1.使ったのはRaspberryPiのZeroと3

RetroPi(レトロパイ)-OSの存在をしり、手持ちのRaspberryPi_4でPC-8801のエミュレータQuasi88を使ってみようとしたのですが、どうやらRasberryPi4ではQuasi88が使えないようなのです。

導入しようとすると、Quasi88が赤字で表示されて、ダウンロードできません。

「申し訳ありませんが、quasi88 パッケージはあなたのシステム (rpi4) では利用できません」とメッセージが出てしまいます。

quasi_02

lr-quasi88というのもあるのですが、こちらでゲームソフトなどを起動しようとしても、起動できなかったり、起動しても止まってしまったりします。

lr-quasi88の導入は可能

ラズパイ4で無理ならRaspberry Pi Zeroではどうだろうか、と考え確認してみたらこちらでは導入できました。

その後、Raspberry Pi 3なら導入できるのではないか、と考え、某オークションサイトでラズパイ3を手に入れて確認してみたら、こちらでも導入可能でした。

ラズパイゼロとラズパイ3

 2.Raspberry Pi Zero(ラズパイゼロ)に使う機器類

3つの端子

ラズパイ3でしたら、USBやイーサネットなど接続端子が充実しておりますが、ラズパイゼロの機器類接続の端子は、

  •    ⚫︎電力供給のためのMicroUSB-B端子
  •    ⚫︎画像出力のためのMiniHDMI端子
  •    ⚫︎入力受付のためのUSB 2.0 microB端子(OTG接続)
  • の3つだけです。

    Wi-FiやBluetoothに対応しているRaspberryPiZero WやWHならば、無線接続のキーボード・マウスやコントローラーなどが使えるのかもしれませんが、自分が使用したのは無線機能のないラズパイゼロでした。

    ラズパイゼロの端子

    Mini_HDMI端子

    HDMI映像出力に使われるのはMini_HDMI端子です。

    HDMI端子は、MiniHDMI端子、MicroHDMI端子、HDMI端子の3種類があります。

    購入されるのでしたら、間違わないように気をつけましょう。

    3種類のHDMI端子

    電力供給のMicroUSB-B端子

    電源供給は、MicroUSB-B端子で受付ます。

    公式ページの電源アダプターは、5.1ボルト、2.5アンペア、の物が紹介されています。

    5.1ボルト2.5アンペアのアダプターと、appleの12Wアダプター

    入力用MicroUSB-B端子_OTG接続

    キーボードなどの接続のため、MicroUSB-B OTG接続ケーブルを使い、さらにそこへUSBハブを接続します。

    無線機能のないラズパイゼロを使っているので、そこへネット接続のためにUSBイーサネットアダプタを繋ぎます。

    自分がつかったのはハード⚫︎フのジャンクコーナーで購入したAppleのイーサネットアダプタです。本家の新しいMacでは、ドライバーのインストールが必要だそうですが、レトロパイでもラズパイOSでもそのまま使えました。

    OTGアダプタとUSBハブとAppleUSBイーサネットアダプタ

     3.RetroPi-OSの書き込み

    ラズベリーパイ用には、公式ページで案内されているRaspberry Pi Imagerをダウンロードし、これを使って様々なOSをマイクロSDカードに焼いて使います。

    ImagerはmacOS用、Windows用、Linux用が用意されています。Raspberry Pi-OSをお使いならば、ラズパイマーク → アクセサリ の中にImagerが入っています。

    マイクロSDカードにフラッシュ!

    マイクロSDカードの容量は8GBもあれば十分だと思いますが、価格的にもだいぶ下がってきたので、自分的にはラズパイ以外でも使い勝手がよい、32GBや64GBを使います。

    Raspberry Pi Imagerを立ち上げて、ストレージを選択。書き込むSDカードを指定します。(これを間違えると大惨事になる可能性があります。気をつけて)

    Raspberry Pi Imager Raspberry Pi Imager

    OSを選択すると、Raspberry Pi OS以外にもさまざまなものがありますが、「Emulation and game OS」から「RetroPi」→使用するラズパイのものを選び、書き込みます。

    Raspberry Pi Imager Raspberry Pi Imager

     4.RetroPiの設定

    書き込みの終わったマイクロSDカードをラズパイに差し込んで色々設定していきます

    RetroPiの入ったマイクロSDカードをラズパイに差し込む

    ゲームパッド

    RetroPiを初回起動すると、まずゲームパッドの設定を促されます。

    画面の案内に従って、各ボタンや方向キーなどを操作して認識させていきます。

    使うゲームパッドにないキーは、関係ないボタンの長押しでスキップしていきます。

    RetroPiでのゲームパッド設定画面

    アップデート

    まずはアップデートをします。

    レトロパイメニューから、RETROPI SETUPを選択。

    立ち上がりましたRetroPi-Setup ScriptからUのupdateを選択。実行します。

    時間が少しかかります。気長に待ちます。

    RetroPi-Setup Scriptの画面 RetroPi-Setup Scriptの画面

    Quasi88のインストール

    RetroPiを使う目的であるPC-8801のエミュレータであるQuasi88をインストールします。

    RetroPi-Setup Scriptで「Manage packages」から→ 「Manage experimental packages」→ 「41 quasi88」でインストールします。

    インストール元は「install from sourse」とします。

    RetroPi-Setup Scriptの画面 RetroPi-Setup Scriptの画面 RetroPi-Setup Scriptの画面 RetroPi-Setup Scriptの画面

     5.Quasi88の設定

    quasi88をインストール後、再起動をかけ、設定をいろいろしていきます。

    USBメモリーでデータの転送

    quasi88で遊ぶには、RetroPiへPC-8801の実機ロムやゲームデータなどを送る必要があります。

    このデータ送りには、公式ページでは、USBメモリー、SFTP、Window(Samba)の、3つの方法が案内されています。

    自分はUSBメモリーや、USBカードリーダーとSDカードの組み合わせで使い、転送しました。

    USBメモリーはFAT32かexFATでフォーマットされている必要があります。そのUSBメモリーに「retropie」というフォルダを作成します。

    retropieフォルダーを作成

    そのUSBメモリをレトロパイOSで起動しているラズベリーパイに接続し、しばらく待ちます。ラズパイのLEDが点滅しはじめたら、USBメモリにアクセスされている状態です。点滅のおさまるまで待ちましょう。

    アクセスが収まったら、USBメモリを外し、それをPCに繋いでretropiフォルダの中を見てみると、「BIOS」「config」「roms」の三つのフォルダーができています。

    retropieフォルダの中身

    フロッピーディスクデータと実機BIOSデータの置き場所

    この「roms」フォルダの中をみると、各コンソール別にフォルダができているので、ここにある「pc88」フォルダーにフロッピーディスクから吸い出したデータをコピーします。

    retropieフォルダーの中身

    実機から吸い出したBIOSデータはBIOSフォルダの中に「pc88」フォルダーをつくり、そのなかにいれます。

    公式ページでも必要なファイルなどについて説明されています。

    retropie/biosフォルダーの中身

    日本語のファイル名が文字化けしていたら

    88のゲームデータのファイル名がローマ字であれば問題ないのですが、日本語のファイル名を使う場合には、そのままでは文字化けしてしまいます。

    quasi88で日本語の文字化け quasi88で日本語の文字化け

    文字化けが「???」の場合は、データ移送につかうusbメモリ(SDカード)のフォーマットが影響しているようです。

    自分の環境(iMac 5K Retina / MacOS Catalina)のでは、usbメモリなどをFAT32でフォーマットしていたら「???」と文字化けしました。

    文字化けが「......」となっていたら、以下の操作を行なってください。

    Raspi-ConfigよりLocaleの設定

    まず、ラズパイメニューから「Raspi-Config」→ 「Localisation Options」を選択。

    ラズベリーパイのメニュー画面 ラズベリーパイのRaspi-Config画面

    膨大な数の選択肢が示されますが、↓キーなどでスクロールさせていきます。途中ですでに選択されている「en_GB.UTF-8 UTF-8」が見つかります。これはそのままにしてさらに下にスクロールさせますと、「ja_JP.UTF-8 UTF-8」が見つかります。

    これにチェックを入れて、「OK」を選択。

    Raspi-ConfigのLocale設定画面 Raspi-ConfigのLocale設定画面

    画面が切り替わりますが、これもそのまま「OK」とします。

    「Back」や「Finish」などで、元の画面に戻り、メニュー画面から再起動をします。

    Raspi-ConfigのLocale設定画面

    fonts-droid-fallback

    再起動しましたら、メニューから「QUIT」→ 「QUIT EMULATIONSTASTATION」を選択。

    quasi88の設定中 quasi88の設定中

    RetroPieがコマンドを受け付けるようになるので、「sudo apt-get install fonts-droid-fallback」と打ち込んでenterキーを押下。

    すると、7673kbの領域を使うけどいいかい?と聞かれるので、よろしければ「Y」を押します。

    quasi88の設定中 quasi88の設定中

    インストールが終わりましたら「reboot」と打ち込み、enterキーを押して再起動します。

    quasi88の設定中

    無事、カタカナも漢字も表示されるようになりました。

    quasi88の設定中

     6.イヤホン端子で音声出力の設定・RaspberryPi Zeroの場合

    ラズパイzeroや、3でのレトロパイでは、自分の環境ではHDMIでの音声出力をできないのですが、それではせっかくの88の魅力が半減です。

    ですので、イヤホン出力で音声を楽しみたいと考えました。

    USB-イヤホンジャック変換アダプタ

    RaspberryPi Zeroにはイヤホンジャックはありませんので、USB-イヤホンジャック変換アダプタが必要となります。

    しかし、これをただ繋いだだけではサウンドを聴くことはできませんでした。

    RetroPieで使ったUSB-イヤホンジャック変換アダプタ

    nanoでファイルを編集

    まず、ラズパイメニュー(ホットキーで出てくるメニュー)から「QUIT」 → 「QUIT EMULATIONSTATION」と進んで、コマンドを受け付ける画面に移行します。

    quasi88のメニュー画面 quasi88のメニュー画面 quasi88のメニュー画面

    「lsusb」と打ち混んでenter。USB端子の認識されている機器類がリストとして表示されます。

    ここでUSBオーディオデバイスがしっかり認識されているか確認します。

    オーディオデバイスを刺す前と、刺した後で、それぞれ「lsusb」の実行結果を見比べてみると早いかもしれません。

    RetroPieでlsusbを実行中

    USBオーディオデバイスが認識されていることを確認しましたら、「nano」でファイルを編集します。

    「sudo nano /etc/modprobe.d/alsa-base.conf」と打ち込んでenter。

    quasi88で設定中

    これで「nano」が立ち上がりますので、ここで以下の3行を記述します。

  • options snd_usb_audio index=0

    options snd_bcm2835 index=1

    options snd_slot=snd-usb-audio,snd-bcm2835

  • nanoでファイル作成

    3行を記述しましたら、CtrlキーとXキーを押して、記述内容を記録、nanoを閉じます。

    保存の[Y/n]には、Yを選択します。

    nanoの編集画面 nanoの編集画面

    画面がもどりましたら、「reboot」コマンドで再起動すると、イヤホンでサウンドが聞こえるはずです。

    RetroPieでrebootさせる RetroPieのメニュー画面

     7.イヤホン端子で音声出力の設定・RaspberryPi 3の場合

    こんどはRaspberry Pi3の場合です。3にはイヤホン端子がありますので、そこへイヤホンを差し込めば音がきこえてきそうなものですが、残念ながらそうはなりません。

    ですので、いろいろやっていきます。

    config.txtファイルの編集

    「ラズパイメニュー」から「QUIT」→「QUIT EMULATIONSTATION」でコマンドを受け付ける画面に移動します。

    ここで「sudo nano /boot/config.txt」と打ち込みenter。

    これで、管理者権限でnanoというエディターを起動し、config.txtファイルの編集がおこなえるようになります。

    RetroPieでconfig.txtファイルを編集 RetroPieでconfig.txtファイルを編集

    config.txtファイルの編集で行うことは、以下の2点です。

  • ・「dtparam=audio=on」の一文があるかどうかの確認(なければ、新たに記述する)。

    ・「hdmi_ignore_edid_audio=1」の一文を書き加える。

  • このとき、環境によっては(キーボードの種類によっては)「=」などが打ち込めないなどの場合があるようです(自分です)。キーボード設定については後述します。

    config.txtファイルに変更をくわえましたら、ctrlキー+Xキーでファイル変更の保存し、nanoを閉じ、「reboot」で再起動します。

    RetroPieでconfig.txtファイルを編集 RetroPieでconfig.txtファイルを編集

    再起動後にラズパイメニューのSOUND SETTINGで確認してもまだ音が出ない様子です。

    RetroPieでconfig.txtファイルを編集

    RetroPie_ConfigurationMENU

    レトロパイのCONFIGURATIONメニューから → AUDIOで「HDMI」から「Headphones」へ変更。

    RetroPieでconfig.txtファイルを編集 RetroPieでconfig.txtファイルを編集

    さらにレトロパイconfigurationメニューから「Raspi-config」を選択。

    「System Options」→ 「Audio」と進み、「Headphones」に変更します。

    RetroPieでconfig.txtファイルを編集 RetroPieでconfig.txtファイルを編集 RetroPieでconfig.txtファイルを編集 RetroPieでconfig.txtファイルを編集

    これでラズパイ3でもヘッドフォン端子音声出力ができるようになりました。

    RetroPieでconfig.txtファイルを編集

     8.キーボード設定

    テキストエディターnanoでファイル編集をする際、使う環境によっては「=」などの記号が打ち込めない時があります。

    そんなときは、キーボード設定をします

    RetroPieメニュー

    キーボード設定するなら、レトロパイメニューから、「RASPI-CONFIG」から「Location Options Configure…」→ 「keyboard」と進み、セッティングします。

    RetroPieでconfig.txtファイルを編集 RetroPieでconfig.txtファイルを編集 RetroPieでconfig.txtファイルを編集

    これできちんと設定すれば、キーボード出力も正確にできるはずです。