iMac-G3 usb-keyboard M2452の修理
iMac G3のキーボードが2つ、ハー●・オフのジャンク箱に入っているのを見つけました。
これを購入し不具合箇所を修理しました。
== 目次 ==
- 1.動作確認
- 2.分解
- 3.不具合箇所の修理
- 4.メンテナンス
- 5.組み戻し
・ボンダイブルー・モデル
・グラファイト・モデル
・キートップ取り外し
・キーボードカバートップの取り外し
・キーボードカバー下部の取り外し
・基板の取り外し
・メンブレンシートへアクセス
・CAPSLOCKキーのLED電球
・電源ボタン
・「-(ハイフン)」キー
・キートップ
・変色したUSBケーブルの美白化
・キーボードカバーなど
・ラバーキャップのセット
・メンブレンシートの固定
・基板の固定
・キーボードカバー下部にキーボード中身を固定
・キートップをセット
・キーボードカバー・トップをセット
1.動作確認
手にしたのはBondi Blue(ボンダイブルー)とGraphite(グラファイト)のモデルです。
さっそく自宅のiMac 2017 5K Retinaに繋いで動作確認してみました。
ボンダイブルー・モデル
CAPSLOCKキーはきちんと動作はするのですが、LEDライトがつきません。
また電源キーを押すと「スリープ ←→ 復帰」ができるようなのですが、これも反応しません。
グラファイト・モデル
こちらの方も電源キーが反応しません。
それ以外は問題なかったのですが、使用中に「-(ハイフン)」のキーが反応しなくなりました。
2.分解
キートップ取り外し
キートップ引き抜き工具をつかってキートップを外していきます。
リターンキー×2、スペースキー、シフトキー×2には金具がついているので、こちらは後回しにして他のキーを先に外していきます。
ウン10年分の埃などが溜まっております。
後回しにしていた金具のついたキーキャップは工具の金具を斜にかけたりなどして慎重にひっぱって外します。
キーボードカバートップの取り外し
キーボードを裏返して2種4つのビスを外します。
グラファイトのキーボードの大きいビスにはワッシャーがあります。
無くさないように、ビス穴に残っていたらピンセット等で取り外して保管します。
キーボード分解における最大の難関 → 6本の爪
キーボードを表にすると、手前に6つの爪が見えます。
これがキーボードM2452の分解における最大の難関です。
ボンダイブルーのキーボードはこの爪の引っ掛ける箇所のうち4つがはじめから壊れていました。さらに分解時に自分でひとつ壊してしまいました。
グラファイトの方では慎重にやりましたが、それでも1箇所亀裂が入ってしまいました。
色々試行錯誤の結果、HOZANの極細のピンセットを浅く差込みながら、爪をソレイド
で押す、というやり方で外していきましたが、これよりもっといい方法があるかもしれません。
自分のこのやり方だと、抉る際に痕がつきます。もっともプラの強度上どんなやり方をしても痕がついてしまうかもしれません。
キーボードカバー下部の取り外し
キーボードカバートップを外したら、さらに表に見える6箇所のビスを外します。
さらに上部の化粧隠し(?)のシートを剥がします。
接着剤だかテープだかでついているだけなので、ヘラのようなものを入れて慎重に剥がしていきます。
シートの下にはビスが見えます。これを外します。
グラファイトのモデルではビスは3箇所、ボンダイブルーでは電源スイッチの横にもさらにひとつビスがありました。
USB端子も取り外します。これはただはまっているだけなので引っ張って抜きます。
これでキーボードカバーの下部が外れます。
グラファイトのキーボードカバーには、基板の下に金属版がありました。
これはUSB端子がはまっていたところの下の位置で固定されているだけなので、この箇所を軽くこじってあげればはずれます。
基板の取り外し
キーボードカバーを外し、取り出した中身を裏返すと基板を固定しているビスが4つ見えます。これを外します。
ボンダイブルーのモデルでは、さらに基板の両端をテープで固定してありました。これは組み立てるときに再利用するので丁寧にはずしておきます。
メンブレンシートへアクセス
金属板上に見える大量のビスを外します。
金属板を外すとメンブレンシートがみえてきます。シートをはずすとラバーカップがボロボロと出てきますので失くしたりしないように気を付けます。
軽くて弾力があるので、摘んでいる指から外れて思わぬ方に跳んで行ったり、扇風機の風で飛んでいったりします。
また、メンブレン・シートにCAPSLOCKキーのLED電球がくっついていたりします。これはただ固着しているだけなようなので、指でつまめば簡単にとれます。これも無くさないように気をつけてください。
これで分解は完了です。
3.不具合箇所の修理
不具合があったのは「CAPSLOCKキーのLED電球」、「電源ボタン」、「-(ハイフン)キー」です。
CAPSLOCKキーのLED電球
電球が壊れているのでしたら交換するしかないのですが、同等品を特定する知識などないため、現物を電子部品を売る実店舗へ持っていき、相談するしかないと思っていたのですが、もしかしたらアレで復活するかもしれないかもと思いためしてみました。
そう、コンタクトスプレーです。
こいつを綿棒に少量振りかけて、LEDとメンブレン・シートの両側に塗り塗りしてみました。
組み直したキーボードにCAPSLOCKキーのキートップをつけて押してみます。
無事点灯するようになりました。
電源ボタン
これらのキーボードの動作確認してたときに、2つとも電源ボタンをおしても何の反応もないので、そういう仕様なのかと思っていたのですが、ネット検索していたら「電源ボタンではスリープする」と言うような記述をみかけました。
分解時にスイッチへコンタクトスプレーを噴霧します。
まわりに飛び散ったのを拭き取り、後にキーボードを組み上げて押してみたところ、、、スリープするようになりました。
「-(ハイフン)」キー
はじめの動作確認では使えていた「-(ハイフン)」キーですが、しばらく使っていたら押しても反応しなくなりました。
メンブレン・シートの接点に汚れなどが溜まっていて、使ってるうちに接触が悪くなってしまったのかもしれないと考えて、無水エタノールで軽く拭き、コンタクトスプレーを使ってみました。
メンブレン・シートは3枚組で1枚目と3枚目に接点があります。この部分にコンタクトスプレーを塗り塗りしてみました。
キーボードを組み直す途中で、「-(ハイフン)」キーだけ動作確認してみました。
無事反応しました。
4.メンテナンス
せっかく修理したキーボード。きちんときれいにして使いたいので色々やってみました。
キートップ
キートップは水洗い後にメラニンスポンジと重曹の激落くん
でガシガシと擦ります。
さらにキートップの文字が黄変しているように感じたので、ワイドハイターEXを水で薄めたものをプラの衣装ケースにいれ、キートップをその中に浸けて日に晒します。
「RETURNキー」「スペースキー」「SHIFTキー」についていた金具はピカールで磨いてきれいにします。
ワイドハイターに2日間つけたキートップを戻したキーボードの上に、つける前の「D」と「RETURN」のキートップを重ねてみましたが、そんなに変わらないような気もします。
きっちり洗い上げたから、テンキー側キートップの傷が目立つようになってしまいました。
変色したUSBケーブルの美白化
何故かUSBケーブルの黄変が目立ちます。
これもワイドハイターEXに浸けて日に晒したいのですが、溶液のなかに浸けるわけにはいきません。
ですのでUSB端子先端だけ養生テープで覆い、ケーブルにワイドハイターを吹きかけた後、これをビニールに入れて日に晒すことにしました。
こちらの方は変化が顕著でした。
まず硬化していたケーブルが柔らかくなりました。
また黄変していた色が抜けました。
しかし、きれいに色が抜けるというわけではなく、場所によっては透明ではなく白く濁るような感じになってしまいました。
これはワイドハイターを原液のままかけてしまったからなのかもしれません。
などと思っていたのですが、ワイドハイターをよく拭き取ってひと晩乾かしたらケーブルの濁りがきえて透き通りました。
自分はこの時、USB端子の金属周りだけ養生テープで囲いその上からワイドハイターをスプレーしていたのですが、USBケーブルには隙間が2箇所ほどありまして、そこから毛細管現象で中へワイドハイターが浸透してしまっていました。
過酸化水素は金属を酸化(サビ)させると聞いていて心配していたのですが、乾かしたら何の問題もありませんでした。
もし同じようにケーブルの黄変を脱色しようとされる方は気をつけてください。
キーボードカバーなど
キーボードカバーや中の金属板などは全て水洗いします。
キーボード下部の、シリアルナンバーなどを印刷されている部分に変な影響がでるのが嫌だったので、キーボードカバー下側はワイドハイター浸けにはしませんでした。
グラファイトモデルのキーボードカバートップが若干変色があるような気がしたのと、キートップを外した樹脂板は変色があったので、この二つをワイドハイターを薄めた溶液につけて、日光に晒してみました。
5.組み戻し
バラした時と逆の手順で組み戻していきます。
ラバーキャップのセット
プラスチック樹脂の板にラバーキャップをセットします。
結構な数があるので、セットし終わるまで紛失したものがないか心配です。
さらにCAPSLOCKキーのLED電球と5つのプラ部品もセットします。
自分はうっかりプラ部品をセットしないで組み直し始めてしまいまして、途中で気がつき組み直しました。
皆様もお気をつけください。
メンブレンシートの固定
ラバーキャップと5つのプラ部品、LED電球をプラ板にセットし終わりましたら、その上にメンブレンシートを載せます。
キーボード上部にあるプラの4つの突起と、キーボード中央部から左右に配置されるプラの2つの突起に、メンブレンシート上の穴を合わせます。
キチンと穴と突起が合わさっていることを確認したら、金属板をこの上にそっと載せます。
基板の固定
メンブレンシートを固定した金属板の上に半分重なる感じで基板を固定します。
プラ樹脂の4つの突起を合わせる感じで基板を固定し、4つのビスを締めていきます。
キーボードカバー下部にキーボード中身を固定
ここまで組み立ててきた「中身」をキーボードカバーに固定していきます。
まずはキーボード下部にあった金属板をセットします。キーボード両端のUSB端子のあった位置に金属板の両端部分を指で押し込み固定します。
この上にキーボードの「中身」をいれて、ケーブル周りのビス3箇所、さらにキーボード正面2箇所、両端4箇所をビスで固定します。ボンダイブルー・モデルの場合はさらに電源スイッチ横にも1箇所ビスがあります。
下記写真のグラファイト・モデルは、プラ部品を入れ忘れています。ボンダイブルー・モデルの状態が正しいものです。
キートップをセット
ここまできたら、キーボードカバートップをはめて、キーキャップをつければ組み戻し完了なのですが、動作確認後に不具合が見つかったら、あの6箇所の爪を再度外すのは大変なので、先にキートップを戻して正常動作を確認後にキーボードカバー・トップを取り付けることにします。
キートップは先に金具がついているリターンキーなどを先に付けます。これらの金具にはセラグリスをつけてセットします。
キーボードカバー・トップをセット
無事キーボードの動作確認ができたらキーボードカバー・トップを取り付けます。
うっかり電源ボタンの部品を忘れないようにします。
位置をあわせて上から押さえればパチ、パチとはまっていきます。
爪のないキーボード奥側の方も上からきっちり押さえてはまったことを確認し、裏返して背面のビス4箇所を締めます。
このビスは大きさが2種類あるのでうっかり間違えてカバーを壊さないように気をつけます。
組みあげれば修理、メンテナンス完了です。
ボンダイブルー・モデルの方は6つある爪の受け口のうち5つが壊れてしまっているので、テープをつかって固定してあります。
Macを使っていて「optionキーを押しながら起動」「optionキー+Rキーを押しながら起動」させたい時など、無線接続のキーボードがなかなか認識されなくて困ったことはないでしょうか。
ジャンク品のapple-usbキーボードを見つけた時に入手して、整備をして持っておくと、いざと言う時に助かるかも しれません。