iPadのRetinaディスプレイで、モニターを自作
ネット巡回していましたら、iPadのRetinaディスプレイを使って、モニター化するということをしていた先達の記録を見つけました。
ASRockのDeskMiniなどで、WindowsやLinuxを使ってみたいなどと考えていたのですが、それなりの大きさのあるディスプレイを手に入れても、設置しておくだけで場所をとるため、躊躇していたのです。
ですが、9.7インチのRetinaディスプレイでモニターを作れば、使いたい時だけサッと出して使い、使わない時はしまっておく、という運用ができそうです。
1.部品の調達
必要なのはディスプレイ、ディスプレイのコントローラー、あとは加工する材料と工具などです。
Retinaディスプレイ
iPadに使われているものと同じRetinaディスプレイが新品でも調達できるようなのですが、安く上げるためにはオークションサイトです。
できることならば、iPadのガラスパネルやその他の部品など、流用できるものは使いたい、という思惑もあります。
実際に購入したのは、ガラスパネルが割れて、アクティベーションロックのかかったジャンク品のiPad第3世代、送料込みで1200円ほどでした。
LCDコントローラー
液晶のコントローラーです。Retinaディスプレイ裏側に記された番号で検索すると、該当するLCDコントローラーが見つかります。
自分はAli-Expressで23ドルほどで購入しました。
透明な下敷き、黒いプラダン、白いプラ板
Retinaディスプレイを剥き出しで使っていて、傷つけてしまうのは嫌なので透明な下敷きを購入。これを一番表面側に据えます。
アクリル板も考えたのですが、綺麗に加工するのは工具類も必要だと判断。値段のことも考えて下敷きにしました。
ディスプレイ表面側のベゼルに白いプラ板を使います。カッターで簡単に切れるので使い勝手がいいです。
黒いプラダンはディスプレイ裏側に貼り付けて、保護、固定に使用します。
3点を330円で購入しました。
2.iPadの解体
iPadの解体には、分解工具類と、ドライヤーをつかいました。
先達の試みがネット上に多々見受けられますので、参考にさせていただきました。
ガラスパネルを外す
ガラスの破片が散らばらないようiPad表面を養生テープで覆ってから作業します
iPadのガラスパネルは接着剤で止められています。これを軟化させるためにドライヤーで加熱します。
素手で触っていられないぐらいの温度、を目安に加熱します。
iPad3は向かって右上のスイッチ付近に接着剤が切れている箇所があるそうなので、そこから工具を差し込んでいきます。
1箇所パネルが浮いてくれれば、そこから何か薄いものを差し込んで、接着面を剥がし進めていきます。接着が強い箇所にきたらまたドライヤーであぶって、同じことをしていきます。
作業中ガラスパネルを割ってしまうかもしれませんし、自分のようにはじめから割れている場合は尚のこと、ガラスで怪我をしてしまうかもしれません。ですので保護メガネや手袋などを適切に使って、自らの身を守ってください。
ディスプレイの取り出し
ディスプレイは4箇所ビスどめで固定されています。
精密ドライバーの#00で外しました。
iPadに向かって左側にディスプレイをゆっくり起こしていき立てかけて、ディスプレイのフラットケーブルを外します。
フラットケーブルも両面テープで接着しているので工具を差し込みながら外します。
ケーブル端子の接続部分は黒いテープで覆われているので、これを外し、コネクタの爪を起こして、ケーブルを抜きます。
アルミパネル
アルミパネルも利用するので、中身を外していきます。
細かなビス類も、何かに利用するかもしれないのでキッチリと取っておきます。
要注意なのはバッテリーです。
接着剤がついている場所を確認し、変形などしないよう、傷つけることのないように、慎重に外していきます。
!なおバッテリーの扱いについては、発火などの危険性があります。危険性をよく理解した上で、自己責任での作業をお願いします。また処分についても自治体の案内などを参考にして、適切におこなうようお願いします。
3.ボディ作成
ディスプレイ部分と、コントローラー基板類を固定したアルミパネル部分をそれぞれ作成し、それを合体させる感じで作っていきます。
ディスプレイ部分
白いプラ板でディスプレイのベゼル部分を作っていきます。外型はアルミパネルのサイズにあわせて切り出し、さらにディスプレイの表示部分を切り抜きます。
さらにベゼルの上に貼る透明な下敷きもサイズをあわせて切り出します。これはプラ板よりも切りづらく、きちんと直線をだしたいので、「本の自炊」でも活躍しているディスクカッターDC-210Nに頑張ってもらいます。
ディスプレイの裏側は黒いプラダンで保護し、成形します。
ベゼルにくっついたディスプレイ廻りを、プラ板で枠を作って固定し、その上に重ねるようにもう一段プラダンを貼り付けます。
アルミパネル側
LCDコントロール基板類をアルミパネルに配置していきます。
基板のうらに電子部品の足がでているものは、これがアルミに触れるとショートしてしまうので、裏側にプラ板をくっつけます。
ここで使った黄色いプラ板は、以前ガイガーカウンター自作キットのGC10を作った時の余りものです。
プラ板に穴をあけ、基板と結束バンドで固定しました。
HDMIなどのポート類と、ボタン基板は、特に注意して位置決めをします。
ボタンの直径は3.4ミリほど。穴をあけてアルミパネル裏側から押せるようにします。
穴の位置がずれたら困るので、ハンドドリルで下穴を開けておいてから、3、8ミリの穴を空けました。
この穴にボタンを通しただけではボタン基板がグラグラするので、プラ板を両面テープで重ねてスペーサーを作り、固定しました。
ポート類のついた基板は、プラ板を既存のビス穴にのせて付けると、アルミパネルのツラの高さと丁度いい位置関係になるので、3箇所だけビスで固定し、反対側を両面テープで固定しました。
このプラ板に結束バンドでポート類の乗った基板を固定します。
配線などもテープでアルミパネルに貼り付けておきます。
合体
ここまできましたら、ディスプレイ側とアルミパネル側を張っつけたいところですが、ポート類の高さがあるので、その高さを稼がなければなりません。
ここで登場してもらうのは、かつて明太子が入っていた発泡スチロールです。
加工のしやすさと、適度な頑丈さで、いつか活躍してもらおうと取っておいたものです。
下手なカッターで切断すると、切断面が汚なくなるので、包丁で切りました。
アルミパネルの枠部分に両面テープをつけ、発泡スチロールを配置して厚みを稼いでいくのですが、一枚のパネル上に切り出した発泡スチロールをボタン基板の上側において、さらに黒いプラダンを一枚挟んで、「ボタンを押しても、ボタン基板ごと押されてしまって、ボタンが押されない」ような状態にならないようにしました。
ディスプレイのケーブルをコントロール基板側と接続し、ディスプレイ側とアルミパネル側をくっつけていきます。
最後に側面を透明感のある養生テープで覆いました。
4.使用感
手元にあるもので、手軽にモニター出力出来そうなのは、「Zorin OS 15 Lite|古いノートPCにLinux導入」で登場したSHARPのPC-CW40Tです。これを使って動作させてみます。
電源アダプター
Ali-Expressの購入ページによると、電源はDC12V、4Aで、とのこと。
探してみるも手持ちはDC12V、2Aしかありません。これで動かしてみました。
これを使ってみると、デスクトップ画面は表示されますが、PCゲームを起動して全画面表示に移行すると表示されず真っ暗です(「Victoria」と「Fallout」で確認。オープニングでもになると表示されませんでしたが、プレイ画面に移行すると表示されました)。
ですので他にもアダプターがないかと探したら、LogitecのガチャベイのアダプターがDC12V、3Aでしたので、これを使ってみましたら無事、ゲームの全画面表示も映し出されました。
しかし、やはり販売者が4Aというのだから、ハー●・オフのジャンクコーナーなどで規格に合うアダプターを探してみようと思います。
ボタン操作
ボタンは<POWER><ENTER><UP><DOWN><MENU>の五つです。
<MENU>で「BRIGHTESS」「COLOR TEMP」などの設定項目が表示され、<UP><DOWN>で項目を選び、さらに<MENU>ボタン押下で項目を選択。
数値を<UP><DOWN>で調整して、値が決まったら<ENTER>で数値を決定し、一つ前の項目選択状態へ戻ります。

スリープ
PCのスリープにもきちんと対応します。スリープ時はLEDが赤く点灯します。
今後に期待
今までディスプレイでもっていたのはPC-KD862にだけでした。が、解像度640×400では現代では使用がきつそうです。
ですが、このディスプレイができたことで、やれることがいろいろ広がりました。今後が楽しみです。
2021.9
その後、さらにもう一つモニターを作りました。↓