PC-8801FA|コンデンサー交換(前編)
レトロPCである88の故障原因であるアルミ電解コンデンサを交換します。
製造後うん10年のレトロPCに使われているアルミ電解コンデンサはすでに寿命が尽きていて、電解液が漏れだすと基盤に致命的な障害を与える恐れがあるため、これを交換します。
高い確率で液漏れする充電池は除去済みですが、これから充電池の除去を行おうとする方は、本体の分解のやり方を参考にしていただき、ニッパーで充電池の足を切るだけで撤去できます(基板のスルーホールを破壊しないよう、丁寧にカットしてください)。
なお、静電気によるIC破壊などをさけるため、基板などに触れる際は静電気防止手袋と静電気防止リストバンドを使っています。
== 目次 ==
- 1.PC-8801FA|分解
- 2.PC-8801FA|コンデンサーの特定
- 3.PC-8801FA|禁断の電源ユニット分解
・金属カバーとバックパネルの取り外し
・増設スロットライザーカード取り外し
・電源ボックス取り外し
・FDDの取り外し
・階基板の取り外し
・フロントパネル
・1階基板取り外し
・1階基板のアルミ電解コンデンサ
・オーディオ基板のコンデンサ
・ラーザーカードのコンデンサ
・電源ユニットの分解
・電源基板のアルミ電解コンデンサ特定
1.PC-8801FA|分解
金属カバーとバックパネルの取り外し
FA本体の左右側面にそれぞれ2本ずつのビスとバックパネルの1本のビスをはずせば、金属カバーが取り外せます。
さらに増設スロットカバー以外の、バックパネルのすべてのビスを外します。
オーディオ出入力用基盤を外し、本体側面の電源ボックスと絡んで締めてあるビスを外せばバックパネルが外れます。
増設スロットライザーカード取り外し
ライザーカードは固定してある金属板共々取り外すことにします。
金属板は2本のビスで固定されています。これを外し、ライザーカード自体をしっかり持って引き抜きます。
電源ボックス取り外し
電源ボックスを取り外すために、ケーブル類をはずします。
フロッピーディスクドライブ(以下FDD)へ接続されているケーブル端子は引き抜くだけで外せますが、電源の接続ケーブルが保持しにくいので道具などつかうとやりやすいです。
電源ファンへのコードは摘めば外れます。
電源ボックスから基板へ接続されるケーブル端子は、手前のベロ部分を手前側に引きながら、端子を上に引き上げれば外れます。これもソレイドなど使ってください。
ケーブル類を外したら、あとは電源ボックスの側面固定ビスの残り1本を外せば、電源ボックスが取り外せます。
FDDの取り外し
FDDは側面のビスと、FDD1とFDD2の間の金属部品で固定されています。
計6本のビスを外せば取り外せます。
ビスを外せば、あとは本体正面側にFDDを引き出す感じで取り外します。
2階基板の取り外し
基盤を覆っている金属板を固定するビスはもう全て外れている状態なので、スライドさせながら取り外せば、基盤が見えてきます。
ここまでくれば充電池にアクセスできます。コンデンサ交換作業に二の足を踏んでいる方も、より基板を侵す恐れのある充電池の除去は急務だと思われますので、大事な88をお手持ちの方はよろしくおねがいします。
2階基板は2つの樹脂部品とソケットで1階基板とつながっています。
樹脂部品のアタマの部分をラジオペンチでつまんで2階基板を引き上げるようにすれば外れます。
両端にある樹脂部品から外し、そっと引き上げるようにすれば端子部分も外れます。
オーディオ入出力端子基板も、コードを抜いて外しておきます。
フロントパネル
フロントパネルは4本のビスで固定されています。これを外します。
さらに本体金属ボディとフロンントパネルの間に付けられている薄い金属板を固定する2本のビスを外し、スピーカーとLEDライトの端子も外します。
これで本体の金属ボディーからフロントパネルが外れました。もしフロントパネルの漂白ホワイトニングをする場合は、さらにLEDライトやスピーカーも外してください。
リセットボタンの部品も、無くしてしまわないように外して保管しておきます。
1階基板取り外し
あとは本体の金属ボディに固定しているビスを外せば基板が取り外せます。
RS-232C端子などが配置されるボード上の端子と1階の基盤がフラットケーブルで接続されています。これも外せば作業しやすいと思われますが、年代もののケーブルは断線が怖いので、つないだままとします。
2.PC-8801FA|コンデンサーの特定
すべてのアルミ電解コンデンサーを総取替えするため、VとμFを読み取っていきます。
1階基板のアルミ電解コンデンサ
PC-8801FAの1階基板には35個の電解アルミコンデンサーが使われています。
88の生産時期によって違うものが使われているかもしれませんし、私の読み違いもあるかもしれないので、ぜひご自身でも読み取ってください。
- C 1 = KMC 25V 100μF (M)105℃
- C 3 = KMC 16V 220μF (M)105℃
- C 4 = KMC 16V 10μF (M)105℃
- C 8 = KMC 16V 47μF (M)105℃
- C 9 = KMC 16V 47μF (M)105℃
- C 11 = KMC 50V 4.7μF (M)105℃
- C 12 = KMC 50V 1μF (M)105℃
- C 13 = KMC 50V 1μF (M)105℃
- C 14 = KMC 50V 4.7μF (M)105℃
- C 15 = KMC 16V 220μF (M)105℃
- C 18 = KMC 16V 10μF (M)105℃
- C 19 = KMC 16V 10μF (M)105℃
- C 28 = KMC 25V 100μF (M)105℃
- C 29 = KMC 50V 1μF (M)105℃
- C 30 = KMC 50V 1μF (M)105℃
- C 31 = KMC 16V 10μF (M)105℃
- C 33 = KMC 50V 4.7μF (M)105℃
- C 41 = KMC 25V 22μF (M)105℃
- C 42 = KMC 50V 3.3μF (M)105℃
- C 43 = KMC 25V 22μF (M)105℃
- C 47 = KMC 50V 1μF (M)105℃
- C 49 = KMC 50V 4.7μF (M)105℃
- C 61 = KMC 25V 220μF (M)105℃
- C 63 = KMC 25V 220μF (M)105℃
- C 65 = KMC 25V 22μF (M)105℃
- C 68 = KMC 25V 22μF (M)105℃
- C 70 = KMC 25V 22μF (M)105℃
- C 71 = KMC 16V 220μF (M)105℃
- C 80 = KMC 25V 22μF (M)105℃
- C 90 = KMC 50V 10μF (M)105℃
- C 1??(読めず) = KMC 16V 47μF (M)105℃
- C 117 = KMC 25V 22μF (M)105℃
- C 119 = KMC 25V 22μF (M)105℃
- C 123 = KMC 25V 22μF (M)105℃
- C 129 = KMC 25V 22μF (M)105℃
オーディオ基板のコンデンサ
オーディオ基板のコンデンサは以下のものです。
C 1 = KMC 50V 1μF (M)105℃
ラーザーカードのコンデンサ
ライザーカードのコンデンサは以下のものです。
C 1 = KMC 25V 22μF (M)105℃
3.禁断の電源ユニット分解
電源ユニット内にもアルミ電解コンデンサが使われています。
起動しなかったPC-98DO+の電源ユニット内のアルミ電解コンデンサを交換したら、起動したことがあるため(起動はしたものの表示が異常でした)、起動しない88も電源ユニットのコンデンサ交換で動く可能性があると思われます。
その時の記事はこちらです。
! しかし、電源ボックス内で使われている容量の大きな電解コンデンサは感電の恐れがあります。
作業はくれぐれも自己責任でおねがいします。
自分は必ず1日以上電源に繋がず、さらに分解しながら、片側を導通しないようにした針金でもし帯電していたら短絡するように接触させるなどして作業します。
これで良いのかわかりませんが、自分はそうしています。
電源ユニットの分解
電源ユニットのファンを外し、5つのビスを外します。
配線が固定されている結線バンドを切り、さらに電源ユニットから配線がでている箇所の樹脂部品をラジオペンチなどで優しくつまみ取り外します。
電源ユニットを開けましたら、電子部品を半田付けした脚の出っ張りが見えますので、ここへ片側を防電した針金を差し込んでカチャカチャと触れさせます。
続いて配線をはずしていきます。電源スイッチ部分のビスを2本外し、3つの端子ソケットを外し、配線を固定している1箇所の樹脂のポッチをラジオペンチでつまんで外します。
配線の端子ソケットは硬いので、ソレイドなどをつかって丁寧にこじって外します。
配線を外しましたら、金属ボディから電源基板を外します。
基板は2本のビスと1つの樹脂部品で固定され、2箇所の樹脂部品と本体の金属出っ張りで挟み込んである状態です。
ビスを外し、樹脂部品の出っ張りをラジオペンチで挟み込んで引っ張り上げて外します。
ここまできましたら、あとは基板をスライドする感じで外します。
電源基板のアルミ電解コンデンサ特定
取り外した電源基板上のアルミ電解コンデンサを特定していきます。
混み合っていて読み取りにくいのですが、頑張ります。
- C605 = KME 180V 560μF 105℃
- C609 = KMC 25V 100μF (M)105℃
- C612 = KMC 63V 22μF (M)105℃
- C613 = KMC 25V 470μF (M)105℃
- C651 = KMC 16V 4700μF (M)105℃
- C652 = KMC 16V 4700μF (M)105℃
- C653 = KM 10V 1000μF (M)105℃
- C654 = KM 25V 2200μF (M)105℃
- C655 = KM 25V 2200μF (M)105℃
- C656 = KMC 25V 220μF (M)105℃
- C658 = KMC 25V 220μF (M)105℃
- C659 = KMC 25V 47μF (M)105℃
- C660 = KMC 50V 10μF (M)105℃
- C661 = Rubycon 50V 0.47μF -55~105℃
つづきは、ここまでの作業で特定できましたコンデンサの交換品を用意してから、取り掛かることにします。
では皆様もよきレトロPCライフを。
後編はこちらになります。
2020.02