PC-8801FH|ユーザーズガイドの旅|周辺機器編
PC-8801FHには「USER'S GUIDE」「n88-BASIC/n88-日本語BASIC REFERENCE MANUAL」「PROGRAMMER'S GUIDE」の3冊のマニュアルが付属します。
自分はPC-8801mkⅡ_model30から中古のPC-8801FHに買い換えたのですが、その当時はゲームで遊ぶことに忙しくて周辺機器などに興味はなく、唯一使ったのはマウス端子に接続したMSX用のジョイ・パッドでした。
ユーザーズガイドを改めて見直してみるといろいろな周辺機器が案内されています。
オークションサイトなどでPC-8801関連の物を検索していると、こういった周辺機器類を見かけることがあります。
拡張ボードなどは出品者自身もそれが何であるかわからないことなどもあり、私もわからないからモヤモヤしてしまいます。
== 目次 ==
- 1.PC-8801FH|コミュニケーションの世界類
- 2.PC-8801FH|グラフィックスの世界
- 3.PC-8801FH|サウンドの世界
- 4.ディスクユニット
・PC-VAN
・通信に必要なハードウェア
・通信のための拡張ボード
・キャプテンシステム
・マウス
・イメージスキャナ
・注意書き
・サウンドボード
・ミュージックインタフェイスボード
・フロッピーディスクユニット
・8インチフロッピーディスクユニット
・固定(ハード)ディスクユニット
1.PC-8801FH|コミュニケーションの世界
ユーザーズガイドでは「コミュニケーションの世界」と題してPC-VANが紹介されています。
PC-VAN
当時のNECでは企業や個人向けに通信ネットワークサービスを行っていたそうで、そのサービスを「C&C-VAN」と総称していて、その中の個人向けサービスを「PC-VAN」として、1986年4月にサービスを開始したそうです。
PC-VANには以下のようなサービスがあったそうです。
・電子メールサービス
・電子掲示板サービス
・テーマ別掲示板(特定のテーマ{パソコンのハードについて等}について分けられた掲示板サービス)
・地域別掲示板(県別にローカルな話題を読み書きする掲示板サービス)
・情報提供サービス(売ります/買いますコーナー、時事問題など)
・SIGサービス(Special Interest Group:特定のテーマについて司会者のもとに意見、情報を交換する電子会議室
・CUGサービス(Closed User's Group Service:情報提供者(IP)に手続きを取った人が利用できる仲間うちでのサービス
・ユーザプロフィールサービス(各人の自己紹介を登録しておき、検索できるサービス)
・センターからのお知らせ(ホストコンピュータからのメッセージ)
= 昭和61年9月時点 =
PC-VANについてはWikipediaのページで詳しく解説がなされています。 → https://ja.wikipedia.org/wiki/PC-VAN
通信に必要なハードウェア
ユーザーズマニュアルでは、サポートするハードウェアとして以下のものが紹介されています。
- ・PC-CA601
- ・PC-CM201
- ・PC-CM202
- ・PC-8269
- ・PC-TL101
- ・MEDIASTAR10
→ RS-232Cケーブル(ノーマル) = PCシリーズのパソコンと音響カプラケーブル
→ パーソナルモデム300 = 300bps全二重のパソコン通信用低価格モデム
→ パーソナルモデム1200 = 1200bps全二重パソコン通信用高速モデム
→ インテリジェントテレフォン = 300bps全二重のモデムと電話機をコンパクトなボディに一体化
→ オートフォン = 300bps全二重、1200bps1200bps半二重のモデム電話
→ ニューメディアモデムフォン = JUST-PC対応の高速モデムフォン
通信のための拡張ボード
中古で手に入れたPC-8801に拡張ボードが刺さっているかもしれません。
- ・PC-8864
- ・PC-8897
- ・PC-8801-12
→ ネットワークインタフェースボード = PC NETを使用するためのボード
→ GP-IBインタフェースボード = GP-IB(IEEE-486)インターフェースを使用するためのボード
→ モデムボード = 300bps・全二重モデムと網制御装置(NCU)を実装したボードで「漢字ターミナル」などのソフトウェアが添付されています
キャプテンシステム
文字や図形情報を電話を使って送るサービスで、「Character And Pattern Telephone Access Information Nerwork system」の頭文字を繋げて名づけられ、一般にはVIDEO-TEXと呼ばれていたそうです。
このキャプテンを楽しむために、ユーザーズガイドには以下の機器が紹介されています。
- ・PC-CM302
- ・PS88-203-2W
→ キャプテンアダプタ = ビデオテックス網に接続してキャプテンターミナルとして使うための機器
→ キャプテンターミナルソフト = ビデオテックス網に接続してキャプテンターミナルとして使う
尚、電話回線に接続するためにはビデオテックス通信網の利用契約が必要だったそうです。
ランク1のビデオテックスは「パタン端末」ともいい、文字を含む画面上の全ての情報を図形として表示するもので、これの利用にはフロッピーディスクドライブが最低1台必要。
ランク2のビデオテックスはハイブリッド端末といい、文字と図形を別々の情報として表示したそうで、これには「RAMボード(PC-8801-02N:メロディ3音の拡張)」が必要だそうです。
キャプテンシステムやビデオテックスについては、Wikipediaに詳しいです。
音響カプラといえば、自分にとっては映画「ウォー・ゲーム」作中での受話器をセットするシーンが印象的でした。
2.PC-8801FH|グラフィックスの世界
マウス
ユーザーズマニュアルでは、グラフィックソフトを使うときに、フリーハンドの線を描くときや、グラフィックソフトの機能選択などでカーソルを思った場所へ素早く移動できるためとても便利だとして、マウスを紹介しています。
いまでは当たり前のマウスですが、自分が88を使っていた時はマウスなんて触ったこともありませんでした。
ユーザーズマニュアルではPC-8872が推奨されています。
イメージスキャナ
ユーザーズ・マニュアルでは「写真、絵画、地図などをデータとして読み込み、それをパソコンなどに転送する画像入力装置」としてイメージスキャナを説明しています。
ここでは以下の三機種が紹介されています。
- PC-IN501
- PC-IN502
- PC-IN503
・原稿移動型読み取り方式採用
・A4サイズの原稿を5インチ両面フロッピーディスクにデータ圧縮により32枚まで保存可能
・10段階の濃淡で読み取り
・原稿固定型読み取り方式採用
・一時停止可能
・書籍形状のものでも読み取り可能
・白黒2段階で読み取り
・16階調
・GP-IBインタフェースを標準装備
・IN501、IN502のソフトウェアがそのまま使える
・原稿固定型読み取り方式採用
・高速読み取り(A4版原稿15秒)
・一時停止可能
こんな記事を書いている今現在の自分は、ドキュメントスキャナーのScanSnap-iX1500でコツコツ書籍の自炊をしておりますが、当時の自分では「イメージスキャナ」と聞いてもなんのことだかよくわからなかったでしょう。
スキャンスナップiX1500の記事はこちらからどうぞ
3.PC-8801FH|サウンドの世界
PC8801FHでは62種類の音色の設定、FM音源とSSG音源による6重和音による演奏ができます。
サウンドボード
さらにサウンドボード「PC8801-11」を使えばFM音源による6重和音の演奏ができます。
・PC8801-11 → サウンドボード = シンンセサイザICを1個実装、本体内蔵のシンセサイザICと合わせてFM音源による6重和音の演奏が可能。
ミュージックインタフェイスボード
コンピュータを駆使してライブ演奏をする。__
そのためにはパソコンのサウンド命令と音楽のテクニックを学ぶこととともに、MIDI対応の楽器とミュージックインタフェイスボードが必要__とのことです。
・PC8801-10 → ミュージックインタフェイスボード = MIDI規格のインタフェイスボードで、キーボードや市販のシンセサイザなどの電子楽器をコントロールすることができる。
ネット検索していたら、「イース」「ソーサリアン」などのゲーム・ミュージックで知られる古代祐三氏がPC-8801シリーズ用の音楽制作ツール「MUCOM88」やWindowsで動作する「MUCOM88 Windows」を無償公開されているのを知りました。
MUCOM88のWEBサイト → https://www.ancient.co.jp/~mucom88/
4.ディスクユニット
フロッピーディスクユニット
PC-8801シリーズでは、PC-8801FH以降発売の機種は標準でフロッピーディスクユニット(FDD)を2台搭載するようになりました。
それ以前の機種では「FDD無搭載 = model10」「FDD1台搭載 = model20」「FDD2台搭載 = model30」とされていました。
model10やmodel20にFDDを増設するためにディスクユニットが用意されています。
・PC-8801FH-FD1 → 増設用ディスクドライブ
ネット検索しても画像が見当たりませんでしたが、おそらくmodel20や30で使われているディスクドライブだと思われますが、マニュアルにはこれを使うために
__「別売のPC-8835FH-2W(k)ソフトウェアが必要です」
とあります。
また別のページには、「モデル10に増設用ディスクドライブを増設、実装して使う時は5.25インチフロッピーディスクのシステムディスクPC-8834FH-2W(K)が必要になります。」とも書かれていて、モデル10には2つのソフトが必要なのかどうか、ちょっとわかりません。
また、2HDの増設用ディスクドライブもあります。
・PC8831-MW → 増設用2HDミニフロッピーディスクユニット
「2D用のソフトウェアをほとんどそのまま使用することができます。ただし、PC-8831-MWで書き込んだデータは、2D用のドライブでは読めない場合があります。___」とのこと。
これも88あるあるですね。
注意書きとして、別売のPC8834-MW(K)ソフトウェアとマルチボードBが必要、とあります。
8インチフロッピーディスクユニット
8インチフロッピーディスクユニットの具体的な製品名はマニュアルでは紹介されておりません。
私自身8インチFDの実物は一度しか見たことありません。
でももしかして、過去8インチFDDを使っていた方が押入れからウン十年ぶりに引っ張り出してみたものの、使い方を忘れているかもしれません。
8インチフロッピーディスクユニットを使うためには、ディスクユニットに添付されるインターフェイスボードを拡張スロットに差し込んだ上で、セットアップモードの初期設定で「拡張スロットタイプ」を「タイプ2」にする必要があるようです。
また注意書きとして、
モデル20、30に接続された場合は、添付のシステムディスク・ユーティリティプログラムdiskut2.j88を使って8インチフロピーディスクのシステムディスクをつくってください。そのとき8インチフロッピーディスクドライブが若い番号になります。
モデル10に接続された場合は、8インチフロピーディスクのシステムディスクPC-8884SRをご使用ください。
と書かれています。
固定(ハード)ディスクユニット
PC-9801ではハードディスクが使えることを知っていましたが、PC-8801FHでもつかえたようです。
5インチ固定ディスクインタフェースボードを用いて、PC98Hシリーズの5インチ固定(ハード)ディスクユニットを使うことができます。
PC-8801-07 → 5インチ固定ディスクインタフェースボード = 拡張スロットに挿入しハードディスクユニットと接続するために用いる
PC-8801でも周辺機器を使っていろんな事ができたようですね。
でも当時は、経済的にそんな事をする余裕などありませんでした。
だいぶ過去の遺産となりましたPC8801シリーズですが、もしこれらの製品をお手持ちでしたら、久しぶりに動かしてみるのも一興ではないでしょうか。
ではみなさまも、よきレトロPCライフを!
2020.06
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